彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





私達を乗せたマシンが動く。

2つの車輪が勢いよく回り始める。

遊園地のジェットコースターのように、スピードが上がる。




(うわードキドキする!大丈夫かな?これ大丈夫かな!?)




そんな思いで神経を集中させていたら、ガラの悪い声が聞こえた。





〈なんとか言えよ、コラ?聞えてんだろうオイ!?〉


(まだなんか言ってる!)



しつこいぐらい、グダグダ文句を言う現場の責任者の声。





〈それともこの俺様を、馬鹿にしてんのかっ!!?〉



舌打ちを我慢したいのを堪えて、大きめの声で答えた。





「ちーがーいーまーす!!」





怒らせるのは面倒だったので、【敵意はないです。】と言う声を出しながら言った。





「電話口のあなた!大嵐山の工場跡地にいるんですよね!?」





言葉に気をつけながら、同時に運転にも注意する。

ハンドルを通して伝わる自分の振動に、胸がドキドキして怖くなる。




「間違いないですよねー!?」




そんな恐怖を誤魔化すように茶化しながら確認すれば、電話口の男は言った。





〈・・・?そうだが・・・ザザー・・・な ザッザッー んだ、オメー・・・?〉




ノイズとかぶって聞えてきた声。



(ちょうどいいわ。)



声も聞こえなくなってきたことだし、体中に伝わる振動も大きくなってきた。






(―――――――――運転に集中しよう。)



〈ザザー・・・オメーの方、電波悪くねぇーか??つーか、ザザー・・・・なにしてんだ・・・!?〉





その言葉場を受け、衝撃に備えて姿勢を変えながら告げる。







「はい!12時に間に合いそうもないので、思い切って、決死の覚悟で―――――――――!!」







ノーブレーキの状態で、見よう見真似で前輪を上にあげる。




ガサガサガサ!バキッ!!!









「大ダイブ決行で――――――――――――――――す!!」





「「「「「「「ええええ!?」」」」」」」




「な、なんだと!?」






眼下から沸き起こる歓声。

いつもより近い距離に感じる満月。

空中で揺れる体で、何とかバランスを取る。





「くっ・・・・・!!」






それでも、この大ジャンプは初体験。


飛んだはいいが、どこへ落ちればいいか?




(なにかクッション!!)





そう思って下を見た時、覚えのあるジャケットを着た集団が飛び込んできた。