「くっ!?」
「わっ!?」
直線で走っていたバイクが、大きく揺れたかと思うと横に傾く。
「わっ、わっわっ!?」
突然のことに、反射的に瑞希お兄ちゃんに抱き付く。
ギューと腰のあたりに腕を回せば、彼の盛り上がった筋肉にぶつかる。
それだけ瑞希お兄ちゃんが、力を込めて単車のバランスを取っているのがわかった。
――――――――――ギュワワワ!!
瑞希お兄ちゃんの努力のかいあって、私達が乗ったバイクは横向きで止まった。
ずいぶん横にずれたのか、歩道の方までスライディングしていた。
(た、助かった!)
ホッとしたところで最初に口に出たのは、
「な、なっ、なに!?」
どうしてこうなったのかという疑問。
それに、運転していた瑞希お兄ちゃんが答えた。
「あぶねーだろう、おばちゃん!?」
(おばちゃん??)
しがみ付いていた瑞希お兄ちゃんの体から、そっと顔を放す。
彼が見ている方向を、私も恐る恐る見た。
そして目にしたのは―――――――
「ごめんごめん!でも、あんた達がこけなくてよかった~!」
どこか能天気な声を出す、マスクをした中年女性。
離れているにもかかわらず、ただよってくる臭い。
(うっ!?これは~・・・!?)
くせのある独特の香水と煙草の臭い。
すぐに、一般人じゃないとわかった。
(な、なにこの人!?キチガイ系!?DQN(ドキュン)の人!?)
〔☆良い子のためのワンポイントアドバイス☆〕
DQN(ドキュン):非常識な行動&周囲の迷惑を考えないで自分勝手な行動をする人のことを言う時の悪い言葉だよん☆
「あ、違うよ、坊や!おばちゃん、DQNじゃないから!」
「ひっ!?」
見破られた!?私の心を読んだ!?
(いやいや、それはさすがにないよ!きっと、顔に出てたんだ!ここは、誤魔化さないと~!)
「や、やだなぁ~そんなこと思いもしてません・・・!」
「ぷっ!とてもそうには思えないけどねー?」
瑞希お兄ちゃんに張り付いたまま首を横にふれば、ゲラゲラ笑いながらおばちゃんは寄って来た。


