彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




(この人が責任者?)



庄倉よりは、対話できるかしら?

安心と期待を込めて耳を傾ける。

そして紡がれた言葉は――――――――――





〈終了時間直後にそうやって駄々をこねるところ見れば・・・12時までにつきそうにないんだろう~?〉

「どうでしょう。」


(こちらの状況を把握できてるのね・・・)





それなら、少しは温情が出るんじゃないかと思えば言われた。




〈しらばっくれんなよ。お前、こっちにきてるって言ってけど・・・バイクや車のエンジン音がしねぇーまさか、徒歩で走ってきてるわけじゃないだろぉ?〉

「あははは。絶対にしませんよ。」




責任者の言葉を、笑ってごまかしながら奴は言う。

今乗っている二輪は、エンジンなどかけていない。



(そこまで聞き取れるって言うか、気づくってことは、切れ者・・・!?)




だから私も、相手のことで、気づいた点を彼に伝えた。




「でも、エンジン音がしないのはお互い様でしょう?あ・・・でも、少し車の音が聞こえるかも。」

〈あ!?こっちが見えるのか?〉

「駐車場に集まってますよね?ライトの光がまぶしいです。」





見たままの感想を言えば、怪訝そうな声が返ってくる。




〈はあ?ふかしてんじゃねぇぞ?姿が見えねぇぞ?〉

「私からは見えますよ。いいから、日を改めてください。時間内にそちらに・・・行けそうですから・・・!」




ハンドルを通して伝わる振動に、胸がドキドキして怖くなる。

恐怖を誤魔化すように茶化しながら言えば、4番目の男は言った。





〈なに甘ったるいこと言ってんだよ、お子ちゃま!お前なぁ~社会に出るとよーそういうお願いは、却下されるんだ。〉





その言葉ですべてを悟る。




(あ。こいつ、お願いするだけ無駄だわ。)





「あ、すみませーん!ちょっと聞き取れません!」





〔★凛は会話を中止した。★〕




さまざまなヤンキーと対話をしてきた【経験】がそう知らせる。

声に茶化しも入っているとわかった時点で、話すだけ無駄。




〈あ?いっちょ前に、聞こえないふりかー?都合の悪いことは聞こえませんってか、あーん?〉

「違います。」



話すのをやめただけだもん。



〔★凛は自主的に交渉を中止した★〕




〈あ?テメーから話してぇって言ったんだろう・・・・・!?〉


直接耳に入ってきているはずの音が割れて聞える。




(電波が悪くなってる・・・?なんか、聞き取りにくいなー。)





でも、いいや。

気にしない。



(だって、もう聞く気ないもーん♪)



「あ、ごめんなさい、聞こえないでーす!」



「・・・・あんだと?どう違うっ〔★凛は話を無視した★〕

「俺がそうだって言うのに、違うって言〔★相手からの話をシカトした★〕

「俺が誰か、わかって〔★わからなくてよくなったので、聞き流した★〕




耳元で聞える雑音をラジオの音に見立てながら、携帯を一度耳から離す。

画面に表示された時間を確認する。





(あと3分。)





残り時間は、カップラーメンができるまでと同じ。





(―――――――行こう。)





自前の携帯用のイヤホンを取り出して、カンナさんの携帯につける。

同じ機種だったから、つけることができた。

借り物の携帯をポケットに入れ、円城寺君と私をつなぐひもをもう一度しっかり固定する。





(瑞希お兄ちゃんどうか・・・・)




深呼吸して私の神様に祈る。



(私を守ってください・・・・・・・・・!!)








恐怖と不安と興奮の中、地面を蹴った。