彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



決心が鈍らないうちに口にする。




「・・・・・・降りるしかないもんね・・・・!」

〈〈降りる!?〉〉




独り言で言ったつもりだったが、電話口の人達には聞こえていたらしい。

心なしか、少し離れた場所で同じ言葉がエコーしているように響く。

それでわかった。



終点は近い。





「ははは・・・・時間も、4分前になっちゃったし・・・!」






もう迷ってる暇はない。






「あ、そうだ。」






時間が短くなったことで、ある種の不安が胸をよぎる。








(4分で降りれなかった時のための保険を使おう・・・)


「・・・・もしもし、ちょっといいですか?」








だから、初めて私の方から問いかけた。









「聞いてほしい話があります。」

〈〈〈〈聞いてほしい話!?〉〉〉〉








切り出す私に、彼らは食いついてくる。

聞いてもらえそうな状況に安堵しながら、私は正確に伝えた。

運んでいる少年と、運ぶのを頼んできた少女の身に何が起こったのか。





「あのですねー!円城寺大河君は、高千穂カンナさんを守るため、血みどろになりました!しかも、その前に庄倉のクズがタイマンだと騙して集中攻撃していて、重傷です!」


〈マジか大河ー!?〉

〈やっぱり、騙されたのか・・・!〉







納得する返事を受け、やっぱり庄倉は悪い奴だと確信する。

同時に、話の筋を通すべくお願いした。





「はい!だから・・・・その場の責任者を出して頂けませんか?」


〈せ、責任者だと!?〉

〈出したらどうするつもりだ?〉






庄倉が困惑の声をあげる。

3番目の声が、怪訝そうに聞く。

それを受けて私は答えた。







「第三者の立場として~こういう卑怯な果し合いはよくないと思います!だから、延期してください!!と、お願いしたいんですっ!!」



〈〈〈〈え、延期!?〉〉〉〉



「これだけ違反行為をされたのに、同じ土俵で戦えますか?主催者は、そこまでわからないほど筋の通らない人ですか・・・!?」





〈ほほ~・・・!なかなか・・・面白いこと言うじゃねぇか・・・!?〉








途端に、3つの声とは違う声が響く。







〈もしもし、話は聞いたぜ、坊やぁ~!?〉

「え!?責任者の方ですか?」

〈おうよ!オメーの話は分かった!〉





そう言ったのは、新たなる4番目の声。