「・・・俺はイラついてねぇ・・・!」
弱かった対戦相手に不満はない。
その程度だっただけのこと。
イライラするはずがない。
「イラついてんだろう?」
「あ?」
そんな俺に、ノッポの秀が声をかける。
「お前、イラついてねぇって言ってるけど、不機嫌丸出しだろう?俺らにあたるなよな。」
「ざけんな!俺は気が立ってるだけだ!?試合してきたんだぞ!?」
「そうかよ。吉本との勝負にご不満ならいいけどよ・・・俺はてっきり、さっきの奴らの話で怒りスイッチに着火したと思ったからよ?」
「・・・・どういう意味だ!?」
俺の問いに、俺の顔をのぞき込みながら秀は言った。
「『あいつ』のことだよ。お前がマジで反応すれば、認めたことになるんだぞ?」
小さくて低いながらも、ドスの利いた声で告げるツレ。
秀の言う『あいつ』を思い浮かべ、胃の辺りがむかむかした。
「なによーまだ、『あの子』のこと、認めてないんかよ、大河ー?」
そんな俺に、話を聞いていたカンナが口をはさむ。
「いい加減、認めたらいいだろう?何が気に入らねぇーんだかよ~」
「テメーは黙ってろ、カンナ!!」
「おー怖っ!」
怒鳴りつければ、馬鹿にするいような口調で言うカンナ。
秀の言う『あいつ』とカンナの言う『あの子』は同一人物。
俺がムカついてる相手と、カンナが言う『あの子』は同じ相手。
(凛道蓮・・・・!!)
突然、俺の前に現れた男。
ヤンキーらしくない、もやしのようなガキ。
そいつが、俺のあこがれる龍星軍の次期後継者を決めるタイマンに割り込んできやがった。
割り込んだだけなら、ここまでムカつかない。
よりによって、あいつは――――――――
(俺の!瑞希さんの!俺が継ぎたかった龍星軍の4代目を――――!!)
「龍星軍の四代目を継いだんだってな?」
「あん!?」
俺の神経を逆なでする一言。
それに反応して顔を上げれば・・・・
「尾村(おむら)!?」
「こら、1年!尾村さん呼び捨てにしてんじゃねぇぞ!?」
「よせよ・・・吉本つぶしたばっかで、ご機嫌なんだろう?」
そう言いながら、仲間を引き連れて教室に入ってきたのは3年のナンバーワンの尾村だった。


