彼が教室に入った瞬間、室内は静かになった。
その姿に、教室内の一部が歓喜する。
「よぉ、大河!終わった!?」
「まぁな。」
大河と呼ばれた男は、自分の名をよんだ小柄な少年につまらなそうに答えた。
「東山の次の頭だっていうから期待してたけど・・・全然だぜ。」
「なんだよ~ずいぶんご不満ぽいな?」
「ご不満つーか、不満満載なんだよ、悠斗!」
「全然、話にならなかった。あれじゃあ、勝っても詰まらねぇよ。」
「カンナ!秀!」
大河の後ろから顔をのぞかせた男女に、悠斗はそれぞれの名を呼んだ。
そのやり取りに、教室にいる生徒達はささやき合う。
「おい、聞いたか?勝ったって・・・・!?」
「うわー・・・円城寺君、ついに2年の吉本さん倒したんだ。」
「ガチンコ秒読みだったけど、もうぶつかったんだな~?」
「おい!現場見てた奴からメールきたぜ!秒読みじゃなくて、秒殺だって!」
「さすが、円城寺君!次の龍星軍のメンバーなだけ・・・」
ガン!!
「誰がメンバーだ?」
「ひっ!?」
興奮気味に言った男子生徒の胸倉を、掴みながら言ったのは――――
「大河!?」
「え、円城寺君・・・・!?」
「誰が、『あいつ』の兵隊だって聞いてんだよっ!?」
「ひっ!?ご、ごめんなさ・・・!」
「おい、よせよ!」
「離してやれ、馬鹿!」
秀と悠斗の男2人がかりで、クラスメートから大河を引き離す。
「もう、腹減ってイライラしてんじゃねぇの!?ほら、あたしのメロンパンやるから機嫌直せ!」
「うっせぇ!んなもん食えっか!」
呆れるカンナを怒鳴りつけると、乱暴に椅子を動かして自分の席に座る。
「うわぁ~・・・」
「い、行こう・・・・」
「食堂で食べよう・・・」
「俺屋上。」
「俺も、俺も!」
不機嫌な大河を見て、クラスメートの半分以上が教室の外へ出た。
逃げた。
それに舌打ちする本人と、顔を見合わせて呆れるカンナと秀と悠斗。


