彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)


お祓いを終え、交通安全のお守りを買った私達は、バイクを押して神社の外へと出た。





「さてと。どこの店に行くかな~」

「俺、瑞希お兄ちゃんとなら、立ち食い蕎麦でもいいです。」

「何でそのチョイスだ!?まぁ、うどんでもいいけど・・・気になるカフェがあったからな~」

「カフェですか?」

「ああ。職場の先輩が、そこのカフェアートがめっちゃ参考になるっていうからよ~」

「じゃあ、そこにしよう!瑞希お兄ちゃんのレベルアップにつながるなら、そうしようよー!」

「あははは!レベルアップって、俺はポケモンか~?まぁ、飯も美味いっていうから、そこにすっか?」

「はぁーい♪」





楽しそうに瑞希お兄ちゃんが笑い、私の頭をいい子いい子する。

最高の幸せ気分だったのだが。







「ほぉ~ずいぶん仲良しちゃんだなー?」






侮蔑のこもった声のおかげで、それが台無しになった。





「え?」

「龍星軍の天然総長は、今日も呑気でいらっしゃるらしいな。」

「あん!?誰だ!?」




総長という単語で、瑞希お兄ちゃんの表情が変わる。





(うわ!?『羅漢』を一喝した時と同じ顔になった!)





私を後ろにかばいながら、声がした方をニラんだ。

その背後で、そっと顔をのぞかせれば、ジャージ姿のだらしない3人組がいた。





(なにあの人達・・・?)





正体はわからないけど、ヤンキーだということは見た目でわかる。

そして、そのうちの1人・・・真ん中にいた男が口を動かす。





「新車の試乗してたら、能天気な声が聞こえたからよぉ~やっぱり、真田瑞希ちゃんだったんだな~?」





その声は、先ほどの声と同じだった。

これに瑞希お兄ちゃんは目を鋭くしたまま告げる。





「はあ?何言ってんだ、この馬鹿は?赤の他人が馴れ馴れしく話しかけてんじゃねぇーぞ・・・!?」

「おお、怖っ!瑞希ちゃん、社会人になったなら、もう少し見た目に合わせて喋れよ~可愛くないぜ?」

「ああん!?」


(なんだこいつ・・・!?)





険しくなる瑞希お兄ちゃん同様、私も嫌な気分になる。

何者だと思いながら、そのムカつく男を観察する。

そばかす顔のギャル男みたいなやつ。

汚ないがついてもいいような、ギャル男だった。

姿も汚いが、ただよってくる香水の匂いが嫌だった。