彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



私が今、通っている道は、急斜面だと思った。

だから、慎重に暗闇に目を光らせる。

様子を見ながらくだっていたら、さらに問われた。





〈カ・・・カンナの頼みで、大河をこっちまで運んでるだぁ!?〉

〈今どこなんだ!!?〉




2つの声に、暗がりの先の外灯を見ながら答えた。




「えーと、カンナさんから借りた携帯の中の地図を頼りにしてまして~近道をして・・・・あ、見えてきた!」






少しだけ地面の下がった場所が、明るく光っていた。


バイクや車の光だとわかった。







(あそこがゴール地点!?)






ほっと安堵したが、目に飛び込んできた光景に悪寒を覚える。







「ちょっと待って・・・!?」


(あれ?何かおかしい・・・・?)





カンナさんの地図によれば、このまま直線に進めばいい。

だけど、直線に進んでは道が・・・・









「ない・・・?」











延々と続いていたガードレールが、ない。


一部分だけ、なかった。








「・・・・・・・・まさか。」






獣道のような、人が通れない道を通った後だからわかった。





(あ、あの子!!カンナさんまさか、私にガードレールを飛び越える道を示してるの!?)





思わず動きを止めて、周辺を見渡す。







(嫌な予感・・・・!?)






すると、蛍光テープのついた看板が目に留まる。







―この近辺で、モトクロス(オートバイレース)の練習および、行為をしてはいけません。  特に、ガードレールをジャンプ台にしてはいけません  ○○県警―



(予感的中っ!!!)





〔★凛の推理は当たってた★〕




「無理よ・・・!」






確かに、ここから飛び降りれば、一発で間に合う。

時間は、23時55分。

単純に考えても、このまま道沿いに目的地に向かっても時間以内につかない。






(飛ぶしかない・・・!?)






慣れない2人乗りで、運転で、怪我人の円城寺君ごと、ここから飛び降りろと・・・!?




完全な自殺行為。




〔★ちゅうちょされる行為だ★〕




絶対怪我をして、両親にばれるような傷を作ってしまうのは目に見えていた。








(そうなれば、瑞希お兄ちゃんを探せない・・・!)






それだけは避けたい。


避けたいけど・・・







〈おい、何が無理なんだよ!?〉

〈どうしたんだ!?答えてくれ!〉






こちらを気遣う声が心に届く。









“ヤンキー界を守れるのはあんたしかいない。”












そう言って、私に怪我人の友達を託した女の子。






“大事なツレを見捨てられるか!”






そう言って、友達のために自分の身を差し出そうとした男の子。









(瑞希お兄ちゃんならどうする・・・?)









ー筋を通す奴は、助ける価値がある。ー









たくさん話した中で言っていた。

彼が語っていた言葉が頭に浮かぶ。








「そうだよね・・・・ここまで来たんだもんね・・・・」






そう覚悟を決めたはず。

もう、途中下車は出来ない。

仮に下手に落ちたとしても、防具をつけているから何とかなる。






「なんとか・・・なるよね?」

〈なにがだ!??〉



「ごめんまちがえた・・・なんとか、するよ・・・!」






困惑そうな声がイヤホンから聞こえた。





「何とかするから・・・。」







聞えた悪い予想を否定する。

それを振りきるように、深呼吸してハンドルを握りなおす。

そして覚悟を決めた。