彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「お客様の~はぁはぁ・・・おかけになった電話番号は、現在・・・はーはー・・・電波の届かない場所にあるか・・・ほっと!電源が入っていないため、かかりませーん!」


〈どこの世界に、息切れしながら音声ガイダンスを述べる機種があるー!?〉



・・・・チッ!




誤魔化せるかと思ったがだめだった。




〔★無理がある★〕




声からして、相手は庄倉。

無駄だと思ったが、とりあえず言った。





「ふーふー・・・当社がそうでございます。アイポも新発売されたでしょー?」

〈アイポ関係ねぇだろう!?つーか、嘘がバレバレなんだよ!!何お前!?誰お前!?マジで誰!?〉

「なんで、名前も名乗らない奴に名乗らなきゃいけないんですか?」

〈知ってるだろう!?俺が庄倉愛雄だって!?〉

「今はじめて、聞きました。」

〈うっ~~~~ぎぃぃいいい!!いいから名乗れ!!〉





短気を起こす相手に、少しだけ冷静さが戻る。




(名前を言えっても言われても・・・)




ナイショで瑞希お兄ちゃんを探している身としては、名乗りたくない。

そう思いながら、上り坂を上り切って、あれっ?と思う。




(・・・・なにこれ・・・?平地になってる?)





地図には、坂道が表示されていた。

なのに、それらしい場所が見当たらない。






(困ったな~12時まで時間がないのに・・・!)





どうしようと思えば、運よく地図が描かれた看板があった。

円城寺君と共に近づいて見る。

携帯の明かりを頼りに見ていれば、うるさいBGMが流れてきた。





〈なんとか言えよ、おい!?俺も名前を言ったんだから、お前も言えクソガキ!!〉


(うるさいなぁ~人が地図見てる時に・・・)





雑音にしかならない声にイライラを我慢しながら、適当に相槌して答えた。





「ああーはいはい。えーと、名前ですか?そうですね~しいて言うなら~」

〈言うなら!?〉

「道に迷ったかもしれない一般人です。」






今の現実を、正確に表している言葉。

これに相手は言った。







〈迷子かお前!?〉






間の抜けた声が、静かな道路に響いた。





〈なんなんだー!?迷子って、お前何!?〉

「何って言われても、道に迷ったみたいです。・・・多分、この道であってると思うけど・・・」





地図から離れながら、其れらしい道を進む。






「どう思う?」





ダメもとで聞いてみる。





〈俺に聞くな!見えねーし!?〉





やっぱり教えてくれなかった。




〔★それ以前にわからないだろう★〕




「つかえなーい・・・」

〈なんだとぉぉぉぉぉ!?〉







役に立たないと思いながら、文句を言った。

うるさい声を出す相手に呆れていたら見えた。







「あ!?坂になってる!」







カンナさんの地図のナビの通りの道が見えた。

見つかった。





〈ていうか、坂って・・・!?〉

〈おいおい、どこに行こうとしてんだよ・・・!?〉






安堵しながら言った言葉を、庄倉とは別の声が聞き返す。

庄倉と喧嘩していた者達からの問い合わせ。

答えない理由はない。






「はい!カンナさんに頼まれて、円城寺大河君を人間の底辺である庄倉君が待つ大嵐山まで運んでまーす。」


〈え?〉






そう言った時、時刻は23時54分となっていた。