彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「あり得ない妄想をグダグダ言うんじゃねぇぞ!凛が女なわけないだろう!?見た目は女かもしれないが、男気はそこらの雄以上だ!これが、女であってたまるか!?なぁ、凛!?」

「・・・ええ・・・瑞希お兄ちゃんのお気持ちが、よぉ~く、わかりました・・・!」



〔★痛烈な本音だった★〕



(うわぁああああん!瑞希お兄ちゃんは、私を女の子だって全く意識してない!というか、ここでカミングアウトしたら、メイドさんのお店に売られた後で殺害されてしまう!!)



「どーした、凛?そんなに震えて・・・?寒いのか??」

「いいえ・・・・皆さんの言葉に、震えまして・・・!」

「やだ、凛ちゃん!何言ってるの~?凛ちゃんを心配するのは当たり前じゃない?それぐらいで感動しちゃって~!」



(違う!あなたの言葉におびえてるからっ・・・・!!)




〔★言いたくても、言えない一言だった★〕



「と、とにかく!バイクは・・・・ごめんなさい・・・!!」





くるっと回って、瑞希お兄ちゃん達に頭を下げて謝った。





「みなさんの気持ちだけ頂きます!バイクは・・・いただけません!」

「凛・・・なんで、そういう返事になったんだ?」

「つーか、バイクないと、族ができないぞ凛たん?」

「バイクは・・・なくても大丈夫です。今時の族は、徒歩で活動すると、モニカちゃんも言ってましたから・・・」

「そりゃあ言ったけど!!凛ちゃん本気!?」

「マジで、足で走る気かよ!?」

「凛助、それはやめろ!俺様達のメンツつぶす気かっ!?」





私の言葉に、驚くモニカちゃんと瑞希お兄ちゃんに続き、百鬼が不機嫌そうに言う。





「冗談じゃねぇぞ、テメークソガキ!俺様の後輩が足で走って暴走活動ってどうなんだ!?鬼ごっこの延長戦でもする気か!?」

「こ・・・この場合は、『けいどろ』では?」

「上手いこと言うじゃねぇか!!?」





百鬼の言葉をはぐらかせば、野獣が吠える。