彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「百鬼さん。」

「あ、あんだよ!?」

「ちゃんとお礼言わせてください。ありがとうございます。」

「はあ!!?」

「凛ちゃん!」

「僕、やっとバイクに乗れるようになったばっかりだから、いきなり新しいバイクに乗っても傷をつけちゃうってわかってました・・・。だから、最初は気兼ねしないで乗れる中古で、よかったと思います。」

「お、お前!」

「なによりも、手作りで用意してくれたことが・・・・嬉しいです。」





いろいろ驚いたけど、やってくれた。

彼は、彼らは私のためにバイクを用意してくれたのだ。

贅沢なんて言わない。

ツッコミは入れるけど、文句は言わない。






「ありがとうございます。」






心から、お礼を言った。

そんな私の言葉で一瞬、静かになるが。





「りぃ―――――――――んっ!!」

「わぁ!?」





瑞希お兄ちゃんの声で、抱擁(ほうよう)で、元に戻る。





「お前って子は~!なんていい子なんだっ!?」

「え!?ええ!?」

「うう・・・凛は何ていい子なんだ!オメーが呪いを受けないためにも、厄払いに一緒に行こうな!?」

抱きしめられ、そう言われては~


「い、行きます・・・!」





つぶれるほっぺを動かしながら、Yesと答えるしかない。





「凛ちゃん・・・なんて純粋なのかしら・・・!はあ~あたしが初めてを奪いたい・・・!」

「さっきの話を忘れたわけではあるまいな、モニカ?リアルでしたら、瑞希の接吻が凛道に炸裂するぞ。」

「マジで実行させる気かよ、伊織!?まったく、オメーらホント仕方のない・・・・あん?どうした、皇助?不景気な面して?」

「なんか・・・凛助に悪いことしたような気になってきてよ・・・。」

「ぷっ!?おいおい、野獣の良心を攻撃できるなんて、凛たんを4代目に選んだ瑞希の勘は正しかったってか~?」


(何話してんだろう・・・??)





ゲラゲラ笑う烈司さんを、瑞希お兄ちゃんの腕の中で観察する。

耳が胸板にくっついて聞き取れなかったが、楽しそうにしていた。