彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「・・・・ということだ、凛道。」

「・・・・はい。」

「お祓いをしてもらう手はずは整えている。・・・・わかってるな?」

「はい、厄を払ってから乗ります!」


「「って、乗る方向かよ!!?」」

「無理するな凛!!」





声をそろえて聞き返す烈司さんとモニカちゃんと、やめなさいと言う瑞希お兄ちゃん。

特に瑞希お兄ちゃんは、ボコボコになった百鬼を放りだしてから駆け寄って来た。





「凛!初めてのプレゼントだからって、俺らを気にして乗ることないんだぞ?」

「だけど、せっかく用意してくれたのに・・・」

「なんなら、当分は俺の単車で4代目してればいいからよ!」

「でも、それだと瑞希お兄ちゃんの通勤に問題が・・・」

「俺はいいんだよ!烈司が送り向かいしてくれるから!」

「いやいや、よくないよ、瑞希ちゃん。俺とお前の職場、真逆だよね?」

「ほらな?烈司も早起きして送ってくれるっているから。」

「言ってねぇぞ!?」

「お気持ちは嬉しいですが・・・・やっぱりいいです。」

「凛!?」





私の両肩に手を置きながら言う相手に言った。






「俺、あのバイクに乗ります。」






自分の方から、瑞希お兄ちゃんの手をゆっくりとはずしながら言う。





「大丈夫・・・『あの龍星軍』が手掛けた単車でしょう?悪運なんて、とっくの昔に消えてますよ。」

「凛・・・」

「なによりも、瑞希お兄ちゃんのバイクと同じ赤色ですよ?ああ、でも・・・赤じゃなくて、朱色ですね。だったら、因縁問題もないです。大丈夫ですよ。」

「え?ど、どういう意味だ、凛?」





私の言葉に首をかしげる瑞希お兄ちゃんに、小さく笑ってから教えた。





「朱色は、鳥居や神社の社殿に使われる色です。風水的にも、生命の躍動(やくどう)を表す色としておめでたいんですよ。けがれを払い、災厄を防ぐ色ですから、大丈夫なんです。」

「・・・・・そうなのか、烈司?」

「大正解だな。」





呆然としながら聞く瑞希お兄ちゃんに、新しい煙草を口にくわえながら烈司さんが笑う。





「凛たん、詳しいな?占い好きなのか?」

「(女子だから)人並ですよ。」






そう言って誤魔化してから、モニカちゃんに胸倉掴まれている男を見た。