彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




ガタガタの道を、ブレーキをかけながら下りる。





「わ、わ、わ!やっほー!」






最初は怖々だったが、思ったほど危なくなかった。

これに安心し、調子に乗って風を切りながら下った。

そうやって、周囲を見ていて気づいた。






「あれ!?もしかして、あそこが工場跡地!?」






視界に見えたのは、ライトアップされている古ぼけた工場。

自分のいる場所と目的地の距離を間隔で予測する。




そんなに遠くない!!





(これなら、予定通りつくかも!)





そう喜んだのもつかの間。







「・・・あら?」






急な坂が緩やかになると、平地へと変わる。

そして、先ほどとは真逆の道になった。







「嘘!?これ・・・上り坂なの・・・!?」






〔★天国から地獄へだった★〕




見上げる高さにため息が出る。





「二人乗りじゃ登れない・・・」






幸い、距離は短い。

仕方ないので、乗り物から降りる。

後ろに乗せている円城寺君を落とさないように、神経を集中させる。

細心の注意と体力を持って坂をあがる。






「ぜーはー・・・!つ、辛い・・・!」


(もう、上り坂ないよね・・・!?)





カンナさんの携帯の地図をタッチして見る。

予定では、この後は少し急な下り坂。

駆け抜ければつくらしい。






(到着時間も・・・・ギリギリね・・・・!)





表示さられた時刻を見ながら、必死で円城寺君を運んだ。





(もう少しでつく。ついたら、庄倉って奴が卑怯者で、円城寺君達には温情の余地があるから、彼の傷がいえるまで、勝ち抜き戦を待ってもらうようにお願いすればいいだけ・・・!)





聞いてくれるかは別として、言うだけ言わなきゃダメ。

さっきの電話みたいに、言わないとわからないことだってある。

そうやって、肩で息をしながら乗り物を引いていたら、ダークなメロディーが響く。






「なに!?また電話・・・!?」


(しかも、しつこいなっ!?)





鳴りやまない携帯画面を見る。

表示は先ほどと同じ非通知。

面倒くさかったので、ボタンを押すと同時に言った。