バイクをくれる理由も、盗難でないこともわかったところで、私は聞いた。
「本当に・・・俺が頂いていいんですか?」
「いいんだよ、凛。」
私の問いに瑞希お兄ちゃんは言う。
「族の頭が単車なしはかっこつかないだろう?俺には・・・俺らには、これぐれーしかできなからよ。凛にしてやれることは・・・・」
「瑞希お兄ちゃん・・・!」
「そういうわけだからよ・・・もらってくれるよな、凛?」
真っ直ぐ私を見ながら言う姿。
なんとなく、私を心配しているのだともわかった。
だから、安心させたくて言った。
「ありがとうござます!大事に乗ります!」
(瑞希お兄ちゃんから、みんなからのバイク、大切にします!)
「百鬼さん、ありがとうございます!作ってもらったバイクで、ちゃんと総長しますから!」
「わーはっはっはっ!!『ちゃんと総長』ねぇ~!?じゃあ、しっかりやれよ、凛助!!」
用意してくれた人にお礼を言えば、大声で笑いながら私の背中をバシバシ叩いてきた。
痛かったけど、機嫌がよさそうなのでホッとした。
「あの、烈司さんも、モニカさんも、獅子島さんも、ありがとうございます!お金・・・募金してもらって。」
「ぶっ!!?募金―!?」
「きゃーはっはっはっ!ツボったわ!」
「お前は、面白い言い回しが好きだな?」
「え?」
自分では、普通のことを言ったつもりだったけど、何やらおかしかったらしい。
笑われて、ちょっと恥ずかしくなったけど・・・
「よしよし、凛たん!また困ったことがあれば、烈司さんが募金してやるからなぁ~」
「凛ちゃん、お小遣いだけじゃなくて、お腹すいたら、モニカちゃんにおねだりすればいいからねー?なんでも買ってあげるわ~」
「とりあえず、単車の調子がおかしくなったら皇助か烈司に見せろ。まぁ、百鬼整備工に持ち込めば、問題はないがな。」
「あ・・・はい。」
そう言いながら、なぜか全員で私の頭を撫でてきた。
獅子島さんに触られるのには、かなり驚いた。
思わず、彼を凝視すれば目があう。


