彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「瑞希の部屋へのチェックインがご褒美って、どんだけ瑞希が好きなんだよ~?」

「そこが凛ちゃんの良いところでしょう、れーちゃん?ホント可愛いわ、凛ちゃん!無欲で無垢(むく)ね~!?」

「その基準で褒美とは・・・・安上がりだな、凛道。」

「わはははは!それが褒美なわけねぇのによぉ~!!」


「えっ!?違うんですか!?」





百鬼の言葉に思わず聞き返せば、烈司さんが瑞希お兄ちゃんに目くばせする。





「そういうことだ。なぁ、瑞希?」

「そりゃそうだぜ、凛?」





そう言いながら、瑞希お兄ちゃんは私に言った。





「バイク乗れるようになったら、今度はおろすっきゃないだろう?」

「お、おろす?」

「凛!そっちにあるやつのシート、取ってみろ。」

「え?」





戸惑いながら聞けば、百鬼の隣にある物体を指さしながら言う。






「このシートを・・・とればいいんですか?」


(なんだろう・・・?)



「ほら、早くしろ!」

「は、はい。」






急がされ、考える間もなく、シートを外した。

銀のカバーの下から出てきたのは・・・・






「これは!?」





薄くて赤い車体を持つバイク。







「凛の単車だ。」


「えっ!?」







これは何かと、たずねる前に瑞希お兄ちゃんからそう言われた。






(私の単車!?)


「・・・僕の単車・・・!?」


「そうだ。カワサキの『バリオスⅡ』だよ!」



「バリオス・・・?」







ニコニコしながら、バイクについて説明する瑞希お兄ちゃん。





「軽いから動かしやすいし、乗りやすい!凛にピッタリだと思ってな!」

「僕にピッタリ・・・・?」


(つまり・・・瑞希お兄ちゃんが言うには、これは私の単車だというけど・・・私、単車なんて持ってなくて・・・あれ?これはもしかして・・・)


「瑞希お兄ちゃんが・・・俺に下さるってことですか・・・・?」





上手く理解できなくて聞いたら、照れくさそうな顔で瑞希お兄ちゃんは言った。





「あ~・・・俺って言うか~」


「俺達から、」

「凛道蓮への」

「ご褒美よーん♪」

「わはははは!!ありがたく受け取れ!」



「えええっ!!?」





返ってきた返事に、驚きの声しか出なかった。