彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「よぉ、皇助!用意できたんかよ?」

「いってぇ~!おいおい、そこは俺様の頭の心配だろう!?」

「オメーの頭が空っぽなのは、今に始まったことじゃないだろう?」

「オメーの頭を真っ白にしてやろうかっ!?」

「やめろ、お前達。見苦しい真似をするんじゃない。」

「そのきっかけ作ったのはオメーらだろう、伊織っ!?」

「よせって!皇助、頼んでたものは出来たのかよ?」

「チッ!こっちこい!」





瑞希お兄ちゃんの言葉で、シブシブといった感じで答える百鬼。





「ついて来い!!」

「え・・・・?」

「凛、行こうぜ。」





怒鳴るような声に驚けば、瑞希お兄ちゃんが私の肩を抱きながら言う。

気づけば、烈司さんから瑞希お兄ちゃんに入れ替わっていた。





「大丈夫だから、な?」

「・・・はい・・・」





瑞希お兄ちゃんにそう言われたこともあって、その場を離れる。

百鬼の後をついてみんなで歩く。

野獣の背中を見ながら、小声で聞いた。





「瑞希お兄ちゃん・・・・これから何が始まるんですか?」

「ん?気になるか!?」





私の質問に、嬉しそうに聞き返す。

笑った顔を見れたこともあって、ほっとした気持ちで答えた。





「気になりますよ。瑞希お兄ちゃんにさらわれるようにして連れてこられましたから。」

「あははは!悪い悪い。けど、なかなかスリルだっただろう?」

「え、まぁ・・・ドキドキは止まりませんでしたけど・・・」

「だよなー!?」



〔★瑞希の考えるドキドキと、凛の言うドキドキは別物である★〕



「ほらさ、昨日言っただろう?凛に、ご褒美やるって?」

「はい・・・。だから、瑞希お兄ちゃんの部屋に泊めてもらって~」


「わははは!」

「やだぁ、凛ちゃん!!」





そう言った瞬間、なぜか爆笑が起きる。





「せ、先輩方!?」


「ご褒美が、瑞希の部屋へのご宿泊って・・・くっくっくっ!」

「オメーら、盗み聞きしてんじゃねぇぞ!?」

「何を言う・・・どこからともなく、面白い話が聞こえてきたんだろう?」





瑞希お兄ちゃんだけに話していたはずだったが、どうやら、全員聞き耳を立てていたらしい。