彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




繰り返しになりますが、よくわかった。

いろいろわかった。

とりあえず、電話をかけてきたのは、カンナさん達が言っていた庄倉本人で間違いない。

庄倉愛雄だと確認できたので言った。







「オメーが原因だ、庄倉。」

〈なっ・・・!?〉






私の言葉で、庄倉が動揺するのが手を取るようにわかる。




あれ、困ってる?



(じゃあ、もって困らせてあげよう。)




自然とほころぶ口元で、私は直接奴に言ってやった。






「あのさー話聞かせてもらったけど、君が庄倉君だよね?羅漢を束ねてる元締めさん。」

〈・・・だったらなんだ!?〉


「評判悪いね、庄倉君。」





相手が何か言う前に、私が知る限りの真実を2割増しで教えてあげた





「おたくの雨宮君もさー言ってたよ。タイマンで呼び出す本人と直接話しさえできれば、後は1人でノコノコやって来た大河を全員でオシャカにして仲間と連絡とれないようにすれば、証拠は完全には残らないって。」

〈〈〈なんだと!?」〉〉〉






これで、電話口が騒がしくなったが気にしない。





〈そっか!声を聞いた本人がいなきゃ、証拠にはなんねぇ!やっぱり庄倉!テメーが大河とカンナを・・・!〉




可能性のある話に気づき、そう叫んでくれた2番目の声、長谷部という子に感謝する。







「そういうこと。形勢逆転だね、庄倉君。クズの極みだ・・・!」






鼻で笑ってやれば、庄倉らしい声がキレた。





〈は、早まってんじゃないぞ!おい、お前誰だよ!?名乗れよコラ!?〉





自分が不利だと感じて、話を変えてきた。

その幼稚な行動が馬鹿らしくて、ため息をつきながら聞いた。





「え?私?私の名前聞きたいの?」

〈そう聞いてるだろう!?〉

「じゃあ、先に名乗ってよ。」

〈はあ!?〉

「アメリカじゃあ、自分の名前を先に名乗るでしょう?ホント、マナーが悪いですね?」

〈ここは日本だバカ野郎!!〉



〔★それでも一般常識だ★〕



小馬鹿にしながら言えば、本気で怒る声が返って来た。



どうしよう、これ?




(なんか、すごく楽しい・・・!!)




調子に乗っている悪い奴をからかう瞬間。

言い負かす時の優越感。





〈お前な!羅漢の庄倉愛雄(しょうくらまなお)相手に、そんな口聞いて許されてると思ってんのか!?〉





肩書を出して対抗してくる姿。





「思います。」





それらに楽しみを感じながら告げて気づく。

視界の先に、分岐点が見えた。







(あ。あそこをまっすぐ行けば、大嵐山の工場跡地に一直線だったよね?)







電話のせいで、地図の表示が見れないが、何度も見たのでわかっていた。





(とはいえ、この先は坂道になってる。電話しながら運転するのは、限界ね。)





そう思ったので、単刀直入に言った。








「というか、忙しいから電話切りますね。」

〈はあ!?〉

「いつまでも、あなた程度の人と話してるほど暇じゃないです。それでは失礼します。」





ブツ!ツーツーツー・・・







相手が何か言う前にボタンを押した。






「さて・・・!」






坂道の手前で一度止まる。

対向車がないことを確認して、目の前の坂道を一気に下った。