彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「じゃあ、行くから!」

「え!?待ちなさい、凛!あなた、朝ごはんは!?それに、こんな朝早くから出かけてー」

「図書館の近くのマックで待ち合わせてる!勉強終ったら、みんなでショッピングセンターに行くの!だから、朝に勉強済ませようって話なの!」

「ちょっと、お母さん聞いてないわよ?急にそんなこと言われても・・・」

「だって、急じゃなきゃ、お母さんダメって言うじゃない!?私もう、高校生だよ!?」

「凛。」

「誰も知らない学校に入学したんだよ!?早く友達ほしいんだよ!?そのきっかけまで、お母さんつぶすの!?」





意味を持った言葉に、母親の表情が曇る。





「・・・わかった。」





ふーとため息交じりにお母さんは言った。





「6時30分までに帰ってきなさい。それが家の門限よ。」

「ありがとう、お母さん!」

「ただし、朝ごはんを食べていきなさい。食べないなら、出かけさせないからね。」

「わかったよ、食べるよ!」

「それから・・・これはお小遣い。」




そう言うと、野口英世が書かれた紙を私に差し出す。




「え?今月分は、もう貰ってるよ?」

「友達と遊びに出かけるからよ。みんなで出かけたら、同じように買っちゃうでしょう?無駄遣いしないのよ。余った分は返しなさい。」

「お母さん・・・!」

「お金がなくて、みんなと同じように物が買えないなんて、恥ずかしいからね。」

「・・・・・・ありがとう・・・・。」




私に手渡しながら告げるお母さんに、言葉とは真逆の気持ちになる。

お母さんの言葉は正しいけど、いつも複雑な思いにさせられる。





(瑞希お兄ちゃんなら、こんなこと言わないのに・・・・)





この嫌な気持ちを消すために、一刻も早く。

早く、彼に会いに行こう。

昨夜は窓からコソコソと出たけど、今日は玄関から堂々と出た。

瑞希お兄ちゃんがいるあの場所へ、私は駆け足でリターンした。