彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




トンファーの使い方は覚えている。

だけど、最後に使ってから、ずいぶん間が空いていた。





「どうした?嫌なのか?」

「そうじゃないです!」





瑞希お兄ちゃんが頼んでくれることなら、なんだってする!

だけど・・・





「僕、カンフー映画みたいに、できる保証がないです。」

「は?」



(ちゃんとできるかどうかも、怪しいけど・・・なによりも・・・)



「・・・瑞希お兄ちゃんの期待に応えられるとは、限らないので・・・」





期待させてがっかりはさせたくない。

そう思っていえば、言われた。





「いいんだよ!」

「え?」





自信ない私に、彼は即答した。





「上手い下手、関係ねぇ!凛が使ってるところを見たいんだ。」

「ぼ、僕が使ってるところを・・・?」

「ああ!カンフー映画は言いすぎたかな?そんなに構えなくていいから、一発披露してくれよ~」

「でも、失敗したら・・・・」

「大丈夫!俺だって使いこなせなくて、段ボールの中に保管してたんだ!できなかったら、お互い様だ。なぁ?」

「瑞希お兄ちゃん・・・!」



〔★この場合、保管ではなく放置である★〕



ニコニコしながら言われて、不安な気持ちも消し飛んだ。





「・・・わかりました。それじゃあ、やってみます・・・。」





照れながらも、2つのトンファーを手にして構える。





「おう、いいぞ、やれやれ!」

「きゃーん、凛ちゃんの演舞ね!?拍手~」

「はいはい、オメーらも手を叩け。」

「わははは!失敗したら凸ピンなー凛助!?」

「やめろ皇助。お前の場合、凸ピンもパンチも同じだろう。」





盛り上がる周囲に、ドキドキする。

何故だかわからないけど、楽しい気持ちになる。

格闘技をしていて感じる楽しさと違う。

ずっとこうしていたいという温かい気持ち。

その心地よさに浸りながら、呼吸を整える。

持ち手を変えて、正面を向いた次の瞬間。







「あーーーー!!?」

「え!?」






自分の目に移ったものを見て、私は固まった。