不安な気持ちで、ボタンをプッシュする。
耳を当てて、相手の声を待った。
〈もしもし、カンナちゃん?〉
(あれ?)
聞えてきたのは男の声。
(カンナさんじゃない?)
というよりも、カンナちゃんのことを聞いてきた。
どういうことかと思っていれば、声の主は言う。
〈今どこにいるかな?〉
え?
カンナさんのこと?
どこって言われても・・・・
「知りません。」
聞えてきたのは、聞き覚えのない声。
とりあえず、正直に答えれば、変な沈黙が流れた。
(・・・・もしかして、カンナさんとだ思ってかけてきた人かな?というか、カンナさんの携帯だから、そう思うのが普通よね。)
しかし現在、カンナさんの携帯は私が持っている。
かけてきた人はそれを知らないのだろう。
それなら・・・・
(教えてあげよう。)
そう思って、こちらから話した。
「どこのどなたか知りませんが、カンナさんがどこを走っているか知りません。」
〈――――――はあっ・・・!?〉
私の返事に間の抜けた声で叫んだあとで声の主は言う。
〈高千穂カンナちゃんの携帯だよな・・・!?〉
「そうですよ。」
〈お前誰だ?〉
聞えてくる音が変なエコーで伸びていた。
スピーカー機能で話しているのだとわかったので、あまり声が大きくならないようにしながら話した。
「そう言うあなたこそ、どちら様ですか?」
〈ど、どちら様だと!?〉
「そうですよ。普通、電話かけてきた方が名乗るのがマナーでしょう?名乗りなさい。」
〈マナーって・・・ええ!?お、お前誰!?雨宮じゃ・・・・〉
そこまで言った相手の声が途切れる。
なんだか、がやがやと雑音のような罵声が飛び交っている。
聞き取れない声を聞きながら、あることに気づいた。
「雨宮・・・?」
聞いたことのある名前。
羅漢のメンバーだと名乗った男で、円城寺君が倒した敵。
(こいつ!羅漢のメンバーか!?)
そう思った時、別の声が響いた。
〈カンナ!おい、カンナ!どーなってる!?聞こえるか!?つーか、カンナの携帯で話してるの誰だよお前!?誰だ、誰だ、だーれー!?〉
カンナと連発しながら怒る声。
それが誰のことなのか。
カンナさんの安否を問う相手が何者なのか。
なんとなくわかった。
〈馬鹿!そんな聞き方あるか?そんなんで答えるわけがー〉
「高千穂カンナさんじゃないです。」
〈えっ!?答えるのかよ!?〉
答えるわけないという新たな声を否定して、真実を伝えた。
「この携帯は、高千穂カンナさんの者で間違いないです。無理やり貸してくれました。」
〈え!?カンナの携帯であってるの!?〉
「無理やり貸しただと・・・!?」
〈どうなってんだよ、おい!?〉
それは私のセリフよ。
どうしてこうなったのか・・・わかってる。
(すべての原因は・・・!!)
「羅漢です。」
聞いてきた人達に、諸悪の根源の名前を伝える。
「羅漢の庄倉の手下である雨宮と大場というのが高千穂カンナさんを人質にして円城寺君を襲ってきた結果・・・割愛しますが、私が彼女の携帯を借ることとなりました。」
〔★凛は告げ口した★〕


