「けっ!すかしやがってよ~!じゃあ、伊織先生の見立てじゃあ、凛の顔が熱いのも、脈が速いのも、寝不足が原因だって言うのかよ!?」
「熱と脈?」
「瑞希お兄ちゃん。」
獅子島さんにシカトされつつも、私を抱き寄せてたずねる瑞希お兄ちゃん。
「そうだよ!こいつ、ほっぺも赤いし、手首の脈も速いしでよー!どうなんだよ!?」
「マスクのおかげで、頬が赤いかまではわからんが・・・」
のぞき込む眼鏡に、反射的にやばいと思う。
(マスクはずせって言われるかもしれない!それで首を見られたら、のど仏がないって~~~!!)
「だ、大丈夫です!平気です!俺、興奮すると体温高くなるだけですから!!」
必死で両手を振って、身を引けば、グッと引き寄せられた。
「そうやって、遠慮するな!」
「瑞希お兄ちゃん!?」
「やっぱ、心配だ・・・!凛、もう少ししたら医者に行こう!知り合いのやってる個人病院が、あ・・・」
「びょ!?いいです!お気遣いなく!!」
病院なんて、冗談じゃない!
(一発で、性別がばれちゃうじゃない!)
自分から地雷を踏みに行くような真似なんてできないわ!!
「俺、そこまでヤワじゃないですから!」
「ヤワとか、ヤワじゃないとか、そういう問題じゃなくてな~」
「凛たんがいいって言ってんだから、行かなくていいだろう、瑞希。」
全力で断れば、その様子を見ていた男前が口を挟んでくれた。
「烈司!?」
「瑞希が心配してんのはわかるけど、伊織がセーフって言ってるから平気だろう?もし、どっか悪いなら、こんなに元気に騒がねぇーし。なぁ?」
そう言いながら、私の頭に手を伸ばして撫でてくるヘビースモーカー。
「そ、そうです!」
「ほらぁ~?」
それを受け、コクコクと首を縦に振れば、にやりと笑う烈司さん。
これになぜか、ムッとした顔をする瑞希お兄ちゃん。


