目が合うと、ニッコリと笑ってこっちへとやって来た。
「平気か、凛たん?目が覚めた瞬間から、瑞希が耳元で騒いで、頭に響いてないか?」
「どういう意味だよ、烈司!?」
「その可能性はあるだろう?この酔っ払い!」
「うっ!そ、それは・・・・」
コラッ!と言う烈司さんに、しおれた花のように口ごもる瑞希お兄ちゃん。
それでだんだんと記憶が戻る。
(そうだ私・・・瑞希お兄ちゃんを守ろうとして・・・)
頭に何かが・・・
「何が落ちてきたんですか・・・?」
「お?やっぱり、伊織の推理通りか。」
私の問いに、苦笑いしながら烈司さんが答えた。
「俺らがオメーを見つけた時、酔っ払った瑞希と、瑞希のガラクタ箱の中身に埋もれた状態だったからよ。」
「え!?クローゼットの上から落ちてきたのは、ガラクタだったんですか!?」
「え!?マジか、凛!?それで気絶したのか!?」
「は、はい・・・多分・・・。」
「嘘だろう~!?何してんだ、俺はー!!」
瑞希お兄ちゃんの問いに、そうだと答えれば、彼は青い顔で頭を抱えこむ。
「あ~~なんで、凛にぶつかるんだよ!マジ、ごめんな!凛~!」
そう言いながら、寝ている私の手を握り直す。
「俺、完全に酔っちまって、何が何だか覚えてなくて・・・ただ、湯たんぽを抱いてぬくかったのだけは、記憶にあるんだけどよぉ~」
「すみません。それ湯たんぽじゃなくて、僕です。」
「つーか、抱き枕にも等しい状態で抱きしめてたぞお前?」
懺悔(ざんげ)する瑞希お兄ちゃんに、さりげなく訂正する私と、ツッコミを入れる烈司さん。
「そっか・・・俺、凛を抱き心地のいい抱き枕型の湯たんぽとして使っていたのか・・・!」
「合体させんなよ、瑞希。凛たんは人間だ、人間。」
「もういいですよ、烈司さん。それよりも・・・酔いはさめたんですか、瑞希お兄ちゃん?」
あれほどひどかった酔いどれ具合が、収まっている。


