彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「あったかぁーい、凛!凛、凛!」

「うっ・・・うう!(こうやって抱き付かれるのは)嬉しいけど、(湯たんぽと同類は)嬉しくない!!」





瑞希お兄ちゃんの馬鹿!!



そんな思いで、瑞希お兄ちゃんの体を押した。





「お?」

「え!?」




そんなに力を入れなかったのに、彼は私から離れた。

そのまま瑞希お兄ちゃんは、ベットの隣にあるクローゼットへと体がかたむく。





(ぶつかる!?)


「危ない!!」

「ん~?」





呑気な声を出す彼の腕を掴む。

しかし、一瞬遅かった。






ゴトン!



「あ!?」





背中が扉にぶつかる。

それほど大きな音と衝撃じゃなかったけど、今の瑞希お兄ちゃんは酔っ払い状態。

フラフラ揺れる体を、どこにぶつけているかわからない。







「だ、大丈夫ですか、瑞希お兄ちゃ―――!?」



ガチャガチャ、ガッシャ―――――――ン!!





「きゃあああああああ!?」

「り~ん?」






私が瑞希お兄ちゃんの名を呼びきる前に、何かが上から降って来た。

とっさに、瑞希お兄ちゃんをかばう。

そして、頭に鋭い激痛を感じた。










「おいおいおい!!なんだ、今の音は!?瑞希!瑞希―!?」

「わはははは!なにやら、トラブルの臭いがするぅ~!?」

「真夜中に騒ぐな馬鹿共。近所迷惑を考えろ。凛道、どこへ行った?」

「ちょっと!さっきの声は凛ちゃんだったわよ!?あたし、凛ちゃんに悲鳴のお出迎えは頼んでなぁーい!」

「つーことは、瑞希と凛たんに何かあったんだろう!?おい、瑞希!凛たん!どうしたんだ、凛たん!?」




男女(?)のにぎやかな声が、階段から廊下へと移り、瑞希の部屋の前で止まる。






「瑞希!入るぞ!」






そう言って、ノックすることなく瑞希の部屋のドアを開けたのは宗方烈司。

その後に、朝霧モニカ、百鬼皇助、獅子島伊織が続く。






「瑞希、今の声は凛たんの――――――あっ!?」





最初に部屋に入った宗方烈司が、ギョッとした顔で固まる。





「なによ!?なに、れーちゃん!?」

「わはははは!どうしたどうした!?」

「品のない声を出して、なにが・・・・・」





烈司の後ろから、彼が見ている視線の先を見て、他の3人も固まる。