彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「ほらぁ~入れよ、凛ー!」





そんな私の気持ちを知らない瑞希お兄ちゃんは、ご機嫌に手を伸ばす。





「ははは!凛をご招待~!」

「あ。」





ドアノブを掴むと、扉を開けた。


開かれた(私的に)禁断の扉。


その先に見たのは―――――





「真っ暗。」

「そりゃあ、電気つけてないからなぁ~」

「はい、そうですね・・・・」





出ばなをくじかれたと思っていたら、パッと部屋の中が明るくなる。






「これで真っ暗じゃないぞ~?」

「瑞希お兄ちゃん。」




見れば、彼が明かりをつけてくれていた。





「入れよ。」

「あ!?」





グイッと腕を引っ張られ、一歩の中へと入る。

そこで見たのは・・・・






「わぁ~・・・!?ここが、瑞希お兄ちゃんの・・・!?」


「俺の部屋~!」



(これが、夢にまで見た瑞希お兄ちゃんの部屋――――――!?)






パッと見ただけでもわかる。

キレイに整とんされた部屋。

中に入ったことでわかること。





(部屋の中まで、瑞希お兄ちゃんの匂いがする~~~!!)




〔★それが凛の最初の感想だった★〕




酔っ払っている彼に気づかれないように、深呼吸する。

好きな人の匂いをかみしめ、お酒を飲んでいない私まで酔いそうになる。





「す、素敵なお部屋ですね?」

「へへへ~そっかぁ~?」





ご機嫌な彼に話しかけながら、目は部屋中を見渡す。

室内にあるのは、ベットとクローゼット。

小さいけど、テレビと冷蔵庫もある。

その中でも、目に付いたのは、机と本棚。





(ずいぶん、本棚が場所を取ってるな・・・)





大きさやカバーの質は違うけど、どれもチョコレート色で統一されていた。

本棚をサッと見てから、本が山積みになっている机に目をやる。

たくさん積まれた本の一番上を見れば・・・・






「『バリスタサービスの基礎知識』・・・?」






コーヒーカップのイラストと一緒に印字されていた表紙を見つける。