一歩一歩、階段を上る。
天国への階段♪
「俺の部屋、上だからよ~♪」
「はーい、お供しまーす!」
間違えた。
行き先は、天国のような場所。
瑞希お兄ちゃんの部屋であります。
「お兄ちゃん、足元の段差に気をつけてくださいね?」
「あははは~凛は優しいなぁ~」
お酒でいい気分になっている瑞希お兄ちゃんを、私は支えながら階段をのぼる。
初めて、瑞希お兄ちゃんをバイクの後ろに乗せて安全運転できた日。
彼に泊まっていけと言われた。
かなり予想外だったけど、泊まる場所が瑞希お兄ちゃんの部屋と聞き、けっきょく欲望に負けた。
「凛は優しいし、きゃわいいなぁ~」
「きゃ、きゃわいいって~!?」
「りーん!」
嬉し恥ずかしい台詞を言いながら、私にしがみついてくる。
抱き付かれて嬉しくないことはないんだけど・・・
「ちょ、危ないですよ!ちゃんと立って!」
バランスが悪くて、階段をのぼるのが大変。
それだけならまだしも・・・
「凛~凛~大好きだよーん♪」
「ひゃ!?くすぐったいですよぉー!?」
酔っ払い特有の口調で、絡んでくる。
現在、足元がふらふらしている瑞希お兄ちゃんを支えながら、彼の部屋へと向かっていた。
(あードキドキする!)
瑞希お兄ちゃんからのスキンシップはもちろんだけど・・・
(瑞希お兄ちゃんの部屋って、どんなのだろうー?)
好きになった人の部屋に行くことに高鳴る鼓動。
女子はともかく、男子の部屋になんて入ったことがない。
男友達なんていないから、余計に想像がつかない。
「凛~上!俺の部屋、まだ上ー!」
「え?3階ですか?」
2階ではなく、その上だと言う。
(そういえば・・・最初のころ、烈司さんが言ってたな・・・上でガサゴソしてるって。)
初めて、ここに連れてこられた時のことを思い出しながら階段をのぼった。


