(辺ぴな場所だから、電車の本数が少ないのは仕方ないけど・・・)
どうせ、始発まで待たなければならないから。
一日一善ということでボランティアをしてもいいけど・・・。
「どうやって行こう・・・」
歩いて行くのは・・・成長期の男子を背負っていくのは厳しい。
時間制限なしで、大嵐山まで運ぶだけなら焦らなくてもいいけど・・・。
「・・・12過ぎると、庄倉って奴が得する世界になるんだよね・・・?」
門限じゃないけど、時間制限がある。
こうしている間にも、タイムリミットが迫る。
時間を気にしながら考える。
(タクシーを使えないこともないけど・・・いくらかかるかわからない。片道分あったとしても、往復で足りるかどうか・・・)
お小遣いの大半を瑞希お兄ちゃん探しに使っているわけで、いつもお金に余裕はない。
それを思うと、深夜料金割増のタクシーを呼ぶのは、ちゅうちょする。
「痛ぅ・・・!」
「円城寺君、大丈夫!?」
気を失ったまま、からだの痛みにかおをゆがめる円城寺君。
「うぐう・・・!」
(いいのかな・・・・?)
苦しそうに眠る彼を見て不安になる。
(いくらカンナさんと一方的に約束したとは言え、本当に病院は良いの・・・?)
タクシーの代わりに救急車を呼んでもいい気がしたが・・・
“親切で殴ってやったんだよ!”
さっきの出来事を思い出してムカっときた。
円城寺君を連れていかないと『卑怯者』が得をする。
(男女平等とか言いつつ、大勢で1人を殴った馬鹿達が喜ぶ結果にしたくない!)
言い方も、やり方も、カンナさんへの仕打ちが卑劣すぎた!
(さっきのやつらを束ねているのが、『羅漢』の庄倉って奴よね?)
私が円城寺君を連れていかないと、庄倉という奴が1人勝ちするという話が気に入らない。
(なんかムカつく。)
いけ好かない奴らへの怒りが、原動力になった。
「何とかして運ぼう。」
もはや、運ぶという結論しかはなかった。
だけど、物事はそう簡単にはいかない。
「困ったなー・・・電車もだけども、バスも終わっている以上、それ以外の交通手段しかないんだけど・・・・」
私の周囲で動かない、乗り物達を見ながらつぶやく。
「・・・・バイク、乗ったことないんだよね・・・」
とりあえず、キーのかかっているスクーターにまたがる。
身長的には問題ない。
一度降りると、円城寺大河を引きずりながらその後ろに乗せた。
「うう・・・・」
「ちょ、動かないで~!」
意識がないためか、きちんと私につかまっていてくれない。
何かないかと周りを探して、羅漢メンバーが持っていた手ごろな縄を拝借する。
「これで、私とこの男の体を縛ればなんとかなるよね・・・?」
(あとは・・・・)
「初めてスクーター・・・動かせるかどうかなんだけど・・・」
失敗=大怪我=両親にばれる=瑞希お兄ちゃん探し強制終了
(ディスクが高いチャレンジだな・・・・)
動かそうかどうしようかと、迷っている時間はない。
12時まで、残された時間は少なくなっていく。
「しかたない・・・間に合わなかったら、訳を話そう!わかってくれるはずよ!」
〔★通じればこうはなってない★〕
強い心で自分を奮い立たせる。
そして、見よう見まねでエンジンをかけようとしてあることに気づく。
「そうだ・・・・あの方法があった!」
それを思い出した自分を、私は心からほめてあげた。


