彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)






ひとしきりツッコんだところで、気持ちを落ち着ける。

叫んだり、抗議したところで、この現実は変わらない。

冷静さを取り戻しながら考えた。




「・・・・どうしよう。」



彼を釣れていたったら、最終電車で帰れない。

今ならまだ、終電に間に合う。

このまま、この少年をここに残していっても、私は悪くない。

護身術の心得があっても、一般人。

ヤンキー4大中学の元トップ同士の喧嘩にかかわる義理はない。

無視したっていいはず。

だけど・・・・





(ヤンキー世界が崩壊するって・・・・)





まるで、異世界が崩壊するとでも言われたかのようなセリフ。

とんでもない事態の重大責任を任されてしまった現実。

確かに、私から言わせるとヤンキー世界は異界。

住む世界が違うけど・・・







”凛。”




(瑞希お兄ちゃんが住む世界でもある・・・・)



「こういう時・・・瑞希お兄ちゃんならどうするだろう・・・?」



瑞希お兄ちゃんは言った。




強くあれ。





”テメーより力のない奴を、理不尽で困ってやる奴を、助けてやれないような、情のない奴だけにはなるなよ?”





「・・・・・・・始発に乗れば、お母さん達に家を抜け出したってばれないよね・・・・?」




それで私は決意する。




「仕方ない・・・よくわからないけど、ヤンキー界の平和が私にゆだねられたってことよね?」




愛しいお兄ちゃんの言葉もあって、覚悟を決めた。




(別に私は、頼まれて運ぶだけ。それだけだから、いいよね・・・)




これで自分のするべきことが決まった。

病院と言いたいところだが、もう大嵐山まで運ぶしかない。

それはわかったが、まだ問題は片付かない。




「カンナさんが貸してくれた携帯・・・・これで大嵐山までの最短コースはわかったけど・・・」



道がわかっても・・・






「移動手段がない・・・・」






バイクも単車もスクーターも乗れない私。




「そんな私に、どうやってこいつを大嵐山まで運べって言うのよ!?」



(元々私は、電車で移動してるわかだし・・・ここまでも、電車で来たわけで!大嵐山までのバスは・・・ああ、もう終わってる。)



自分の携帯で検索した大嵐山行きの電車時刻表を見てため息が出る。




「こんな血だらけで気を失ってる男子1人を背負って・・・ここまで行けって言うの?」


(それも、夜中の12時までに?)




携帯に表示された時刻は、終電電車の発車時間を過ぎていた。



〔★公共機関は使えなかった★〕