怒りながら、私の後頭部を叩いたのは好きな人。
しかしその視線は、私からきゃぴきゃぴしている『女性』に移った。
「オラ!いい加減、凛を離せモニカ!」
そういうと、ひったくるように、モニカちゃんから私を奪う瑞希お兄ちゃん。
「ああん!泥棒!そうやって独り占めして~」
「オメーは高千穂でも抱いてろ!」
「やーよ!あたし可愛い子が好きなの~」
「あたしは可愛くないんすか、モニカ先輩!?」
「間違えた。あたしは、可愛い男の子がいーの!そういうわけだから、みーちゃん!凛ちゃんを、およこし!」
「だったら、高千穂でいいじゃねぇか、モニカ!こいつこれでなかなか、男前じゃんか?」
「ケンカ売ってんすか、真田先輩!?」
「そりゃあ、男らしさはあるけど・・・まぁいいわ。今日のところは、これで手を打つけどさ~」
「妥協してんじゃねぇぞこの野郎!!」
瑞希お兄ちゃんの指示に、しぶしぶ従うモニカちゃん。
赤い顔でツッコミを入れるカンナさんを、お人形みたいに抱きしめるオネェさん。
私は、そんなカンナさんが気の毒に見えた。
(何気に、モニカちゃんってひどいな・・・いくら男が好きでも、カンナさんに失礼だよ。)
〔★瑞希もひどくて、失礼である★〕
「まったく!みんなに心配かけやがって、オメーは!」
そう思っていれば、私を背中から抱き寄せる瑞希お兄ちゃん。
(きゃ!?背後からハグされた!)
密着したことに浮かれていれば、言われた。
「だから、言っただろう?『出かける時は、必ず俺達のうちの誰かに言え』って!?書置きは駄目だぞって!?」
「それ、今はじめて聞きましたよ!?」
初耳だと指摘すれば、
「言い訳無用だ!おらおら!」
「あー!?」
私の意見を却下する。
そして、指先を使って、弱い力で私の顔をつつきまわす瑞希お兄ちゃん。
「うりゃ!」
「あう!?なにを??」
「凛は、あぶねぇから、放っておけないんだよ!」
私のほっぺをツンツンしながら言う瑞希お兄ちゃん。
「それなのに、勝手に脱走して~まるで、ポチみたいだなー?」
「俺、そんな名前のハムスターじゃなーい!」
触れる動きは、完全に遊んでいるものだったが、顔はお説教モードのまま。


