彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)







「大河を探してやがるんだ!こうなった以上、ここはあたしに任せて、あんたは大河と行きな!」

「え!?ちょっとカンナさん!?」



男前な顔で言うと、倒した連中の1人が乗っていたバイクに勝手にまたがる少女。



「あたしがあいつらのオトリになっているうちに、あんたは大河を大嵐山まで連れて行ってくれ!!」

「だから承諾してないってば!!」

「あ。大嵐山までのアシだけど、こいつらの単車使え!どれでもパクって乗ればいいぞ!」

「ちょ・・・窃盗してでも連れてけって!?」

「これあたしの携帯!お前に貸すよ!中の地図、近道を入れてるから!移動中にバイクの音で気づかれても、お前らの姿が見つかることはない道だから!」

「なっ・・・!?待って、私はまだ連れていくとは―――――――!!」



「頼む!!」



ブォン!と、小気味のいい音がしたと思えば、バイクにまたがった少女が目の前にいた。



「お願い・・・」

「あ・・・」



涙で潤んだ目が、私を見ながら懇願してくる。





「あたしの仲間は、ツレは・・・みんなバラバラにされた。今夜12時まで大嵐山に大河が行けないと、ヤンキー世界が崩壊する・・・!」


「崩壊!?」


「頼む、あんたにしかできないんだよ!あたしらを、大河を・・・ヤンキー世界を救ってくれ・・・・!!」






そう告げて、私の手を握りしめて微笑んだのは一瞬だった。




バルルルルル!!





ド派手なエンジン音と共に、私の手と彼女の手が離れる。

そして真剣な表情で彼女はバイクを走らせた。






「大河を頼んだぜ、RPGおよびに通りすがりの一般人!!」





そう言い残して、爆音あげながら去って行く。




「・・・・・カンナさん・・・・・!」





さわやかな笑顔と軽めの香水の香り。

達成感に満ちた表情。

遠ざかっていくその姿を、目を点にして見送る私。

そんな彼女に向かって、私は言った。







「―――――――――だから引き受けるって言ってないってば―――――――!!!!」






ツッコミとしか言えない苦情を。


(押し付けられた!完全に、丸投げにされて、面倒なことを押し付けられちゃったよぉ―――――!!)




「なにあの子!?なんでごく普通の一般人に、危ない運び屋頼んでるの!!?」


ツッコんでみるが、返事はない。




「つーか、夜中の12時って、完ぺき終電ないじゃん!?終わるじゃん!?」


文句を言うが、返事はない。




「なによりも、こいつに必要なのは病院でしょう!?なんで大嵐山!?」


正論を言うが、返事はない。







「そもそも私、単車もスクーターも乗れないんだけど!?」




(終電だって間に合わないのに、どーすればいいのー!!?)





不可能に近いことを頼まれ、怒ってみるが・・・・やっぱり返事は返ってこない。


こうして、夜の公園に、気絶した男子と2人で取り残された。