彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




「瑞希お兄ちゃん!こういう時は、どうしたら~!?」

「チッ!ガキ相手に本気になりやがって~・・・こうなりゃ凛、一瞬単車を止めて、俺と運転を変わーーーー」






ヴゥ~~!!ヴォーン!!!





瑞希お兄ちゃんの声を遮るように、新たなエンジン音が響く。





「わっ!?また増えた!?今までのパトカーよりも、すごい音~!?」

「あ?待て待て!この音はーーーーー」





驚く私の後ろで瑞希お兄ちゃんが言った。





「これは、パトの音じゃねぇ!」

「え!?違うの!?」

「単車だ!」

「えっ!?もしかして、白バイ!?」

「いいや、『ゼルビス』だ。」





私の問いに、瑞希お兄ちゃんがニヤリと笑う。

ゼルビス?

どこのギリシャ神話の神様の名前??




ヴォーンヴォーン!!!!ギュン、ギュン、ヴォヴォーーー!!







そう思っていたら、視界に何かが映る。





「あ・・・?」





対向車線から何かが迫ってくる。





「バイク・・・?」

「見覚えあるだろう?」

「うっ!?は・・はい・・・?」





私の耳元でささやく瑞希お兄ちゃんにドキドキしながら、目を凝らす。

高速で近づいてくる単車。

すぐにわかった。






「烈司さん!?」





ヘビースモーカーのお兄さんにして、瑞希お兄ちゃんの親友の先輩。

口元にバンダナを巻いて、顔を半分隠している。

私がその姿を見るのは、初めてだった。