彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



私の後ろに鎮座したお方に、内心ほっとした。





(よかった・・・一緒に逃げてくれる・・・!)






意外と頑固なところがあるから、聞いてくれないかもしれないと不安だった。

でも、彼は私のお願いを聞いてくれた。

それは喜ばしいことだけど、安心するのはまだ早い。





「逃げるなガキ共!!」





間近で聞えた声。

目だけで見れば、私の後ろに乗った瑞希お兄ちゃんに手が届きそうな距離までお巡りさんが着ていた。






「チっ・・・!もうこんなとこまでー!」






それに気づいた瑞希お兄ちゃんが、警官を見ながら何か言おうとしたがーーーー





ボボッ!ブロン!!





「ガキ共!動くんじゃ・・・うわっ!?」

「凛!?」

「しっかり捕まっててください!」





誰かが何か言う前に、アクセルを動かした。

バイクは、爆音を立てて走り出す。






「逃げたぞ!」

「封鎖しろ!」

「陣形組み直せ!!」





上がる罵声がすべて私達へ向けられている。






「凛!」

「強こう突発します!」







瑞希お兄ちゃん返事を待たず、そう言いながら発進する。






「こら!まだあおるか!?」






逃げようとする私達に、警官が飛びかかってくる。






「わ!?マジですか!?」


(冗談でしょう!?普通、動いているバイクに飛びかかってくる!?)






びっくりしていれば、瑞希お兄ちゃんが動いた。






「離せコラ!」


ボカ!


「ぐえ!?」


「蹴った!?」





おまわりさんに、キックした。





「瑞希お兄ちゃん!?なんでそんなことをー!?」

「触んなボケ!凛が怪我するだろう!?」

「瑞希お兄ちゃん!?」



こんな時でも私の心配!?



(私のために追い払ってくれた!?)



そこまで思われているなら、私頑張っちゃう!







ブロン、ブッブッブ!


「そっれー!!」

「おお!?凛!?」






上体を起こして、ハンドルを上へと上げた。

その動きに、バランスを取りながら瑞希お兄ちゃんが笑う。




「凛、ウィリー上手くなったな!?」

「えへへ!ありがとうございます!」





本日、二度目の披露の大技。





「(褒められて)イエーーーーイ!!」

「イケイケー!!」



「わー!?やめろ馬鹿ガキ!」

「ぶつかる、ぶつかる!」

「止まりな・・・うわっ!?」





私の運転に、翻弄する警察。

距離を取るように、私達から遠巻きに離れていく。