彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「俺の単車で逃げろ!」

「ええ!?」





まさかの提案。





「オメー1人だけでも、先に逃げな!」

「な、何言いだすんですか!?」





とんでもない内容に私は首を横にふる。





「そんなことしたら、瑞希お兄ちゃんを置き去りにしちゃうじゃないですか!?」

「俺は平気だ!そこらじゅうに転がってる単車を、かっぱらって逃げる!」

「そこらじゅうって・・・!」





確かに、『毒蝮』達のバイクが止まってるけど・・・





「離せこら!」

「触るなよ、ポリ公!」

「大人しくしろ!」

「ガキ共逃がすな!バイクも回収だ!」



「・・・かっぱらうって・・・・」



(無理でしょう、これ・・・)



〔★単車をパクる前に、瑞希がパクられる★〕




「だめです!一緒に逃げましょう!」

「ばか!いいから、逃げろ!」

「嫌です!瑞希お兄ちゃんが行かないなら、僕も行かない!」

「凛!聞き分けのねぇーこというな!」

「いやだったら、嫌!」

「凛!!」

「やーだー!」


「ぎゃははは!まるで駄々っ子だな!?」



「「オメーは、黙ってろ!!」」


ボゴッ!!


「ぶえ!?」






真面目に話す私達の会話に割り込んだ雑音。

それを息ピッタリに殴って黙らせる私と瑞希お兄ちゃん。





「僕嫌だよ!逃げるなら、一緒に逃げよう!?」

「まだわからねぇのか!?この状態だと、オメーは足手まといなんだよ!」

「瑞希お兄ちゃん!」

「トロいお前が先に行かなきゃ、俺が1人で脱出できんだよ!行けよ!」

「あっ!?」





そう言って背中を押してくるが、そうもいかない。





「いやだよ!2人で逃げよう!僕頑張るから!」

「しつこいぞ、凛!俺が信用できないのか!?」

「側にいるって言ったのに、勝手に帰っちゃったじゃないか!!」

「凛っ!?」

「一緒にいるって言ったのに・・・・俺が寝てる間に、帰ったくせに・・・!」






初めて会った夜。

眠くて、あったかくて、瑞希お兄ちゃんの背中で意識を失ったあの日。

気が付けば、彼はいなくなっていた。




「お別れも・・・連絡だって、ちゃんと交換してなくて・・・!」

「今言うことかよ!?」

「今だから、言えるんだよ!?ここで離れたら、またあの時の二の舞だよ!」





そう告げて、ギュッと抱き付いた。

離したくない。

離れたくない。