意外と強い力でしがみ付かれる。
鼻につく香水の香りと血の香り。
「た、高千穂さん!?」
「カンナ!あたしはカンナ!ねぇ、お願いだよ!あんたの言い分わかるけど、お願いだよ!助けてくれよ!」
それまでの強気でひょうひょうとした態度は消え、切迫した顔で言ってくる。
「お願い、助けて!!」
「た、助けてって・・・!?」
「あんたしかいないんだ!」
「たかち・・・」
「あんただけしか、頼れないんだよぉ!!」
「うっ・・・・!」
そうって、すがるように迫った少女の顔。
その頬を一筋の涙が流れていく。
〔★カンナは『女の涙』を使った★〕
〔★凛に精神的ダメージを与え、抵抗力を奪った★〕
(わ、私も女の子だけど・・・・女の涙には、勝てないっ・・・!!)
頭の中でそう考えていれば、目の前の『女』はさらに言う。
「頼む・・・こいつのことは、あんたにしか頼めないんだ・・・!お願い、決戦の地である大嵐山に大河を運んで・・・!!」
「あ、あのね・・・気持ちはわかるけど――――――!!」
「このままじゃ、庄倉に『取られちゃう』んだ!あいつにだけは、渡しちゃいけないんだ・・・!」
〔★カンナは凛を、丸め込みにかかる★〕
「いやいやいや!待って!待って、カンナさん!なにか、重大な事情があるのはわかったよ!?わかるよ?だけど私~!」
〔★凛は最後の抵抗をする★〕
「大嵐山の場所とか、さっき地図で見たばかりで、詳しいことはわからないから、無~!!」
「あたしの携帯を持っていけ!中のカーナビ機能に、目的地の大嵐山の位置をセットしてある!」
「ええっ!?」
「それ見ながらなら、行けるだろう!?場所は、大嵐山の工場跡地だからさ!そいつを頼りに大河を運んでくれ!
「・・・・え?」
「わかってよ!あたしらを助けられるのは、あんたしかいないんだよ・・・!?」
「・・・!!」
〔★カンナの『ごり押し』技がさく裂★〕
〔★凛は何も言えなくなった★〕
「はい、携帯!」
私の口がふさがったのを狙って、薄型の携帯を無理矢理握らせた。
「確かに渡したよ!今は一刻を争う時だ・・・!必ず大河を、決戦の場まで運んでくれよな!?」
「そこは嘘でも病院って言おうよ!?」
〔★凛は文句しか言えなくなった★〕
さっきまでの弱気が嘘のように元気良く言う相手に、ツッコミしかできない私。
(・・・ヤンキー強い・・・。)
あれほど、強気な姿勢で断ったのに。
厳しく言って黙らせたのに。
抑え込んだはずだったのに。
(会話のやりとりが、全部無駄だ・・・負けた・・・)
いいえ・・・彼女だけじゃない。
(優柔不断な自分にも負けたのね・・・・。)
あっという間に話を勧められ、大嵐山に行かなければいけない状況に追い込まれた。


