彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




(さっき叩き落したのに、もう拾ってきたの!?)




そう思って刀の名前を口にしたけど、相手は意地悪く笑って首を横にふる。



「馬~鹿!こっちが、備前長船だよ!」


「えっ!?まさかーーーー!?」


「ポン刀が一本だけとは限らないだろう!?」





笑いながら、刀を振り上げる男の背後。

銀色の刃物が一本転がっていた。




「よ、予備もあったのー!?」

「そういうことだっ!」



(よけなきゃ!)





後方へと、後退しようとしたんだけど・・・




「逃げんな!」

「戦えんだろう!?」

「わっ!?」




岡田に気を取られ、背後の防備が手薄になっていた。







バシバシ、バキ、ドン!


「痛ったぁー!?」





連打するように、バットや木刀、角材で背中を叩かれた。

押し倒され、地面にぺしゃっと寝そべる。







「あいたたた・・・!」


「ひ―ひっひっひっ!!バットVS日本刀、どっちが強いかなー!?」


「あっ・・・!?」






その言葉で見上げれば、私へと狙いを定めた刃物の姿。








「死ねぇえぇっぇ!チビ!!!」

「あぅ・・・!?」




(これって、本当にピンチかもしれない!)





防げば、きっと背後から攻撃を受ける。

攻撃しようと、バットで受け止めれば、やっぱり後ろから攻撃される予感しかない!






(試合やおけいこではうまくいったのに!)






練習では、防げたのに。

実際にやってみたら、思い通りにいかない。






(うう・・・ヤンキーには実勢が必要・・・私に足りないのは、ぶっつけ本番だった!)





その事実がわかったところで、もう遅い。






”凛!”


(瑞希お兄ちゃん・・・!)







頭の中に、彼の笑顔が浮かぶ。





(瑞希お兄ちゃん、私ここで死んじゃうの・・・!?)





せっかく、再会できたのに。





(瑞希お兄ちゃんに死ぬなって言われたのに~!)





こんなところで、こんなやつに!







「~~~~~~~やられて、たまるかー!!!」



(瑞希お兄ちゃん、私に力をっ!!)






そう念じながら、ダメ元で、素手で刀を受け止めようとした。



次の瞬間。