瑞希お兄ちゃんにさえ、内緒にしてる身元。
彼女に話すわけにはいかない。
「なによー?なんでなんにも言わないんだよ?やましいことでもあるのか?」
コラコラと言いながら、顔を寄せてニラんでくるカンナさん。
瑞希お兄ちゃん達から言わせれば、これがメンチを切るというやつかな?
(でも、女の子相手にニラみ返すのは・・・)
ちゅうちょもあったので、ニラまないで、視線をそらさない状態で答えた。
「さ・・・最近、ここに来たばかりなんだ・・・」
「へ!?もしかして、引っ越してきたってやつかよ!?」
私の言葉で、カンナさんの表情が少しだけ柔らかくなる。
「ここ・・・初めてだから、土地勘もなくて・・・」
「あっ!?だから、大嵐山の場所も知らなかったのかよー!?なーんだ、新参者かよ~!?」
「うん・・・よろしく。」
「おう、よろしく!じゃあさ、真田先輩とはどんな関係だよ!?オメー、お兄ちゃん、お兄ちゃんて連呼してるけど~」
「その前に!!」
たたみかけるように聞いてくるカンナさんを、大声で制してから私は言った。
「円城寺君は知ってるの?」
途端に、カンナさんの眉毛がピクリと動く。
あまりよくない反応かもしれないと思いながら、話をはぐらかすために、私はさらなる言葉をつむいだ。
「今日、『俺』と会ってること・・・円城寺君は知ってるの?」
「・・・オメーにゃ、関係ねぇーだろう・・・!?」
そう返事する彼女は、完全戦闘態勢。
完全にメンチを切っている。
(でも、ここで弱気になっちゃダメ!!)
自分を奮い立たせて、冷静な口調で言った。
「それと同じだよ。円城寺君・・・僕のこと、すごく怒っていたじゃないか。そんな僕と、大事な仲間であるカンナさんが一緒にいて、話をしていたって知ったら、カンナさんまで誤解されるよ?」
「お前!?」
「だから、これ以上のコメントは控えさせてもらうよ。」
ピシャリと、獅子島さんのように言えば、カンナさんは口を閉ざす。


