予想していなかった感謝の言葉。
「あ・・・あの?」
(どういうこと?ここは普通、仲間を怪我させた私を怒るところじゃないの?)
どうしたらいいのかと困っていれば、目元の涙をぬぐいながら彼女は言う。
「あんたが今、大河を落としてくれなかったら、こいつ無茶に拍車かけてた・・・」
「え?」
「このまま、大河だけ庄倉達のところに行かせてたら危なかったよ・・・」
「そ、そうなの?」
「うん!今だけじゃなくて、さっきも・・・ホント、ありがとう。あんたのおかげで、あたしも大河も助かったよ。」
「そ、そんな!人として、当然のことをしただけで~」
「うふふ・・・・あんた、本当に良い奴だね。」
彼女の言葉に、照れくさい気持ちで言えば、満足げに言われた。
「あたしの名前は高千穂カンナ(たかちほかんな)。元黒中の者だよ。」
「黒中って・・・・・あの黒崎中学校の?」
「そうよ。」
(げっ!黒崎って・・・・)
瑞希お兄ちゃん探しをしていて、何度も耳にしている学校名。
地元でもヤンキーの激戦区として有名な中学。
一昔前は、ヤクザ構成員の予備校だともいわれるぐらい、ガラが悪かった。
今も悪いらしいのだが・・・
「それでこいつが・・・円城寺大河(えんじょうじたいが)。あたしのツレで、少し前まで黒中で頭張ってたやつさ。」
「え!?番長だったの!?」
「あははは!死語だぜ、それ?・・・うん、まぁ・・・そうなんだけどさ・・・」
そう言って笑った顔は、ひどく幼かった。
可愛い少女の名残があった。
それもあって聞いてしまった。
「こいつら・・・なんなの?」
彼女を見た後で、周囲の肉の残骸を目で見ながら聞く。
これにカンナさんは、ゴミを見る目で答えてくれた。


