2人乗りができないのだから、誰かを連れてくるべきだった。
瑞希お兄ちゃんだけ、後ろに乗せれないのだから、彼を誘えばよかった。
今日はいたんだから、お願いすればよかった。
待ち伏せの意味も含めて、こんなに早く来たのに-----
(声をかけられないかった。)
遠くで、バイクが加速する音が響く。
それに耳をかたむけながら思うこと。
(瑞希お兄ちゃんに後ろに乗ってもらって、また飛んだりでもしたら・・・・!!)
今度こそ、私は立ち直れない。
「怖い・・・・!」
彼を傷つけることが、迷惑かけることが嫌。
(嫌われたら怖いよ・・・・!)
失敗したくないゆえに、気持ちが臆病になる。
(もういやだ・・・なんで、乗せられないの・・・・!?)
こんな自分がひどく嫌。
そんなことを何度も考えていた。
同じことを、グルグルと考えていたら疲れた。
(あーあ・・・・なんかもぉ・・・・・)
「・・・・疲れた・・・・」
「じゃあ、休憩入れようぜー!」
ひとり言としてつぶやいた言葉。
それに答える声が響く。
「!?」
ギョッとしながらも、目を凝らす。
見上げれば、寝ころんでいる私を、誰かが逆向きで覗き込んでいた。
「だっ!?」
(誰?)
太陽の逆光で、その顔がわからない。
全部、真っ黒にしか見えない。
(誰なの!?)
そう思った時、太陽が雲に隠れた。
それで、相手の顔がわかった。
「カンナさん!?」
「よぉ!久しぶりだな、凛道蓮ー?」
ニカッと笑いながら私の偽名を呼ぶのは、髪が綺麗に切りそろえられていた高千穂カンナさんだった。


