彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





私の鉄拳は命中した。



「げぶっ!?」

「えっ!?」

「お、大場さん!?」



驚く周囲と、女の子の前でソバカス男が宙を舞う。



「な、なにが・・・!?」

「汚い手を離しなさい!!」



殴って踏み込んだ姿勢を変え、カンナと呼ばれていた子を、悪い奴らから奪い返す。



「離せ!!」


「ぎゅあ!」

「ぐへ!」




実力行使の拳と蹴りで、引き離した。



「大丈夫!?」



距離を取り、女の子をかばいながら円城寺と言う子の側まで後退した。





「あ、ありが・・・・って、あんた誰・・・!?」

「なんだテメーは!?」

「お、お前!円城寺の新しい仲間!?」




戸惑う女の子と男達の質問に私は答えた。







「いいえ、通りすがりの一般人です。」

「どこの世界に、うちのナンバー2を一撃で沈める一般人がいるか!?」






鼻血を吹いて動かないソバカス男の側で、下っ端達が騒ぐ。

苦情が出たけど押し通した。




「一般人と言ったら、一般人です。ほら、早く帰りなさい。私も終電なくなる前に帰りたいから。」

「テメー!?」

「代わりに殺してやる!!」



そう言いながら、私へと向かってきたヤンキー達。




「わからない奴らですね・・・」




これで、すっと呼吸を整えて構える。



「下がって。」

「えっ!?」



女の子を後ろへと隠す。

組手の時のように型を作って構えた。




「カッコつけてんじゃねぇぞ!」

「テメーにもリンチお見舞いしー!」


「はっ!!」




2人同時に飛びかかって来たのを、膝と肘で叩き落とした。




「なに!?」

「はぁ!!」




驚いて固まる男達に、今度は私から飛びかかった。




喉。

「ぎゃ!?」

胸。

「うわ!?」

腹。

「ぐっ・・・!?」

みぞおち

「げあ!」



そして・・・・・・・・・ピー的部分。



「おんぎゃあああああああああ!?」





を、蹴りあげた。




「ひぎゃ−ん!」




それで、仲良く地面に転がっていく悪質な不良達。




「す、すっげー!」

「マジか・・・?」




少年少女の視線を感じる中で動きを止めた。

もう一度構え直した時、10人ぐらいが動けなくなっていた。



(やっぱり、急所を狙って戦った方が楽ね・・・)




そう考えながら、目を丸くして私を見ている連中に言った。






「リプレイします・・・・今すぐここから、帰りなさい・・・!」






ニッコリと、笑顔を作りながら言えば、わかってくれたのだろう。



「じょ、冗談じゃねぇ!勘弁してやる!」

「お前、覚えてろ!」

「つ・・・次はさらって処刑してやる!」



そんな捨て台詞を残して、我先にと逃げ出したのだが・・・





「お家には、帰れないぜ・・・。」






地を這うような低い声。




「げえ!」

「があ!」

「うげっ!」



立て続けに断末魔が響く。





「君は・・・!?」

「大河!?」


「やるじゃんか、オメー・・・」





そう言いながら、拳を胸の前で組み、ボキボキと鳴らす血まみれの少年。






「カンナさえ取り戻せば、こっちのもんだ・・・・!!」

「え、円城寺!」

「1人も逃がさねぇ・・・・!!」



「「「うぎゃああああああああ!!」」」



鬼のように笑った彼の言葉通り、彼らの中で、この場から脱出できたものは1人もいなかった。



〔★おあとがよろしかった★〕