怒ってるような、悲しんでいるような顔でモニカちゃんは言う。
「好きな子が出来ても、『おかま』って言われて嫌われてね~・・・中でも、極めつけのひどい奴が1人いてさ~同じ道場に通ってたいたいじめっ子なのよね。」
「いじめっ子?」
「そうよ。そいつがまた、嫌な野郎でねー・・・あたし、そいつが大嫌いだった。相手もそうだったんでしょうよ~試合以外では、格闘技を使っちゃダメなのに、しつこく殴る蹴るしてきて・・・」
「ひどい!」
私も格闘技をしてるからわかる。
「武術を心得る者として、一番してはいけないことじゃないですか!?」
いじめッ子のやり方を批判した。
「そいつどうしたんですか?」
「・・・最初の1年は我慢してやられっぱなしだった。でも、あいつがあたしの大事にしてたブレスレッドを引きちぎって壊したの。お小遣い貯めて買った物だったから、プッツンきちゃって・・・」
「それはやり返して当然ですよ!思いっきりやっていいです!」
「うん・・・だから、我を忘れてぶっ飛ばしちゃった。おかげでそのいじめっ子は、2か月ほど入院したわ。」
「本当に思いっきりやりすぎましたね!?」
あまりの結末に、関心とツッコミを合わせて言えば、ゲラゲラとモニカちゃんは笑う。
「やっぱ、やりすぎかしらー?でもね、あたしは1年もそいつに、出血をともなう怪我させられたのよー?あたしが被害者じゃない?」
「それはそうですが・・・まぁ、もういじめがなくなったなら、よかったじゃないですか?」
「それがあんまりよくなくてねー」
「え?」
「あたしがやり返した相手の親が、PTAの会長してたのよ。おかげで、両親にものすごく怒られたわ。」
「モニカちゃんが!?なんで!?自分の子供がいじめられてたのに!?」
「遊びだって。」
困惑する思いで聞けば、すっきりした顔で言われた。
「あたしが怪我して帰ってきても、いじめられてるって言っても、あいつらは子供の喧嘩、子供の遊びで、真面目に取り合ってくれなかった。」
「え・・・・?」
「だから、子供の喧嘩でやり返したら、怪我させた方が悪いって言ってさ・・・要はね、世間体を気にしたわけ。あいつら、あたしを見捨てたのよ。」
「・・・。」
返す言葉が見つからない。
「乙女なあたしだけど、格闘技は結構上級者でね~その一件で、みんな怖がってあたしから離れちゃった。それからずっと、みーちゃん達に会うまで一人ぼっちよ。」
「・・・・・それが、モニカちゃんのグレた理由?」
やっと出た言葉。
遠慮気味に聞けば、優しく微笑みながら彼女は言う。


