彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



1日、1日、彼のことが大好きになっていく。

その反面、単車の練習につき合わせて、怪我をさせていることが申し訳ない。



「なんで、バイクの二人乗りができないんだろう・・・・?」



誰もいないお店の中で、独り言をつぶやく。

重い足取りで、椅子に座る。

キレイに磨かれているカウンターテーブルに、頬杖をつく。

正面のキッチンは、瑞希お兄ちゃんがいつも立っている場所。

今日は、誰もいない。




「瑞希お兄ちゃん・・・・」




1人なると、決まって考えるのは瑞希お兄ちゃんのこと。

彼はバリスタを目指している元ヤンで、週に4日はバリスタのいるお店で働いている。

『felicita(フェリチータ)』は、その合間に開けているお店。

バリスタの先輩から習ったことを応用する場として、模擬練習してるらしい。



(そういえば・・・瑞希お兄ちゃんの家族のこと聞いてない。烈司さんといつから親友なのか、百鬼達とどういう経緯で仲間になって暴走活動してたのかも聞いてない・・・)


でも、そういうことって、私から聞いていいのかな?

ヤンキー世界って、運動部の部活と同じで上下関係厳しいんでしょう?

私仮にも、後輩のポジションだから聞きずらい。

瑞希お兄ちゃん達が話す前で、待った方がいいのかな?

いつか、話してくれるかな?





(総長を任せてはくれたけど・・・あまり暴走族に関する話、してくれてないんだよね・・・)



旗揚げをする日が迫っているからと、バイクの練習も追い込みがかかっている。

だから、おしゃべりしてるヒマはないけど・・・



(私、総長に向いてないのかな・・・・)



もし私に、こんなに手がかからなかったら、今頃瑞希お兄ちゃんの家族の話が聞けたかもしれない。

話もそうだけど・・・・瑞希お兄ちゃんに擦り傷をつけてしまうことだってなかったのに。




「ばかだな・・・」


(瑞希お兄ちゃんを傷つけないって決めたのに、さっそく体に傷入れて・・・情けない。)




「馬鹿だよ・・・絶対に・・・・!」

「あら?人間みんな馬鹿でしょー?」

「っ!?」




突然、真後ろから響いた声。

ガバッと起き上がって、90度後ろを振り返る。






「モニカちゃん!?」




いたのは、モデル並みのスタイルと美貌を持つ・・・



「はぁ~い!モニカちゃんよぉ~!」



オネェさんだった。