とりあえず、瑞希お兄ちゃんがいないのはわかった。
彼がいない+バイクで練習できないなら、ここに用はない・・・
「じゃあ、僕・・・帰った方がいいですかね・・・?」
「瑞希お兄ちゃんがいないとわかって、早速撤収か?」
「そ、そうじゃないですよ!」
「まぁ時間あるなら、少し待て。直してる途中だからよ。」
「えっ!?烈司さんが修理するんですか!?」
「ああ。瑞希から、聞いてないか?」
「世間一般で言う親衛隊長に相応しくないほど、バイクの扱いが上手いとしか聞いてないです。」
「あいつそれ、褒めてるつもりなんかよ?」
呆れながらため息つくと、頬を指でポリポリとかく。
「別にいいけどさー・・・。凛たん、帰りたかったら、帰ってもいいぞ。瑞希の奴も、今日はいつ戻るかわからねぇ。お前だって、瑞希がいないならつまらねぇーだろう?」
「え!?そういうことは~・・・・」
「じゃあ、俺が修理するの待ってるか?」
「そ、そうですね!お願いしますっ!」
誤魔化し笑いを浮かべれば、烈司さんの目元が笑う。
「ばか。俺を誤魔化せると思うなよ。」
「あ・・・。」
口元だけで笑うと、私の額に手をそえる。
そのまま優しく、くしゃくしゃと撫でられた。
「俺、ガレージにいっからよ。凛たんは店の中でくつろいでな。」
「烈司さん。」
「終わったら、呼んでやるからな~」
私から離した手を振りながら、店の外へと出て行ってしまった。
店内に1人残された。
(あーあ・・・)
「はぁー・・・・」
心と体で、同時にため息をつく。
バイクの練習目的できたのにできない。
早く覚えたくて、金曜と土曜の夜だけ来ていたのを、これそうな日は、平日でも来るようにしていた。
瑞希お兄ちゃんと一緒にいれるのが嬉しくて、平日の夕方も彼の元に来た。
翌日の授業に負担がかからない日を選んで、通っていた。
(練習できないのも困るけど・・瑞希お兄ちゃんに会えないのが辛い。)
瑞希お兄ちゃんに好かれたくて、関心を持ってほしくてはじめた暴走族。
バイクの練習も、その第一歩でしかない。
彼は本当に根気良く、私なんかに付き合ってくれる。
それでますます、好きになった。


