「その調子で、発進してみろ。」
「うっ!?」
耳元でささやかれ、彼の吐息が当たる。
(ひええええ!!)
嬉しいけど、体と心がパニックを起こす。
「凛・・・焦らず、ゆっくり動け。」
そう語る口から、良い匂いがする。
瑞希お兄ちゃんは、体臭もいいけど、口臭もさわやかな香りがする。
ミント系じゃなくて、フルーツ系の甘い香り。
あまーい、あま~い、いい香り・・・・♪
「力を抜いて、リラックスして・・・さぁ・・・!」
「は、はい!!」
甘くささやかれ。
顔が熱くなるのを感じながら返事をした。
両肩が、大きくゆれてしまう。
それに親切な瑞希お兄ちゃんがーーーー
「おっと!あぶねーぞ!」
ギュっ♪
「あうっ!?」
背後から、肩と腰をそれぞれ抱いた。
バランスを取るように、瑞希お兄ちゃんの両手が私の体を支える。
「気をつけろよ、凛!」
「なっ・・・・!?」
手が置かれた反対側の肩に感じるぬくもり。
耳に直接入ってくる声。
(これはもしかして・・・・!?)
目だけで声のした方を見れば・・・・
「フラフラすんなよー?」
「うっ・・・!?」
嘘!?
(瑞希お兄ちゃんが、私の肩に顔を乗せてる!?)
その姿勢をとることで、瑞希お兄ちゃんの顔が私の肩へと置かれた。
「ほら、凛!発進だ!」
(きゃああああああああああ!!)
不十分だった心の準備。
声にならない叫びに合わせ、私はアクセルを踏んだ。
ギャルルルルル!!!
「うおぉ!?」
「ああああああ!!?」
「凛たん!?みずきー!?」
思いっきり、アクセルを動かしてしまった。


