つま先を地面にかろうじてつけたまま、私は次の指示を待った。
瑞希お兄ちゃんもそれに気づいてくれたようで、私に声をかけてくれた。
「凛!両足の先だけついてる状態はキツイだろう?片足だけでいいから、ちゃんとつけろ!」
「こ、こうですか!?」
「そうだ!」
確かに、つま先立ちはつらい。
自転車でも大変なのに、今乗っているのはバイク。
鉄の塊。
(思った通り、重ったいんだよね・・・。)
両足つま先立ちから、片足だけ地面につけた状態にしたところで、瑞希お兄ちゃんはさらに言った。
「凛!そのままの姿勢でいいから、キーまわせ!」
「え?」
「ほら、キー!」
「あ、ああ、はい!」
カギを投げ渡され、不安定な体勢でなんとかキャッチする。
穴に差し込んで、瑞希お兄ちゃんがしていたようにエンジンをかける。
バウーウンウンウン!!
大きな音が響き、体に振動が走る。
「うあっ!?すっごい音・・・」
「これでも小さい方だ。ほら、姿勢はこんな感じで・・・」
「ひえ!?」
そう言いながら、突然、後ろに乗り込る瑞希お兄ちゃん。
背後から私の体に抱き付いてきた。
嬉しいけど、びっくりする出来事。
声が上ずる。
「みみみみ、みみみ?」
言葉にならない。
「あ?セミのマネか?遊んでないで、真面目にしろ。」
「す、すみません!」
(そんなつもりじゃなかったんだけど~)
そんな気持ちを飲み込めば、私の手に自分の手を重ねる瑞希お兄ちゃん。
「ひゃ!?」
「いいか~ハンドルはこう握って、足離すタイミングは~」
「あ・・・・」
(ああ・・・こんな近くでうるわしい瑞希お兄ちゃんの顔を見れるなんて・・・!!)
吐息がかかる距離で指導してくれる愛しい人。


