涙をふこうと、手を上げたが上がらない。
「瑞希お兄ちゃん?」
「・・・・・ばかやろぉ・・・・・・!!」
うなるように言われ、もう一度抱きしめられた。
良い匂いのする首筋。
うなじと耳元。
サラサラの髪が、顔をくすぐる。
甘酸っぱい気持ちになる。
「だからお前は・・・・危なっかしいんだよ!」
「え?」
「俺が見てなきゃ、俺が面倒見なきゃって気になるんだろうがっ!?この天然坊主が・・・!!」
「え・・・!?」
(私のことが気になるっ!?これって、恋愛対象になってる!?)
〔★残念だが、気になるの言葉の後に『坊主』が続いている★〕
「あーもー!マジで手のかかる『弟』だよ!こうなったら、マジで男になるまで、徹底的に教育すっからな!?」
「よ、喜んで!!」
赤面しながら言う瑞希お兄ちゃんに、私も顔がにやける。
(教育って!これが噂の調教プレイかもー!?恋愛発展の予感!?)
〔★『弟』発言がある以上、凛の予感は外れている★〕
「そういうわけで、凛!絶対に死ぬなよ!?知んだら、ただじゃおかないからな!?」
「はい!無茶はしません!瑞希お兄ちゃんの言う通りにします!」
「だからって、マニュアル的な動きはすんなよ!?凛はさ、けっこう型から入るタイプそうだからな・・・・そんなことしなくていいからな?」
「うっ!?そ、それは・・・」
否定できない。
現に本屋さんで、ヤンキーになる方法をについて探したもんね・・・。
気まずさに黙れば、瑞希お兄ちゃんも同じことを感じたのかもしれない。
ごまかすような咳払いをしてから言った。
「じゃ、じゃあ!とりあえず、俺がお手本見せるから!バイク!」
「え?見本?」
「俺が凛にバイク教えるんだから、お手本見せなきゃダメだろう!?」
「あ、そういうことですか。」
「そうだよ!」
そう返事をすれば、密着タイムは終了となった。
私から体を離すと、顔を輝かせながら言う。
「バイクだってな~最初は面倒だけど、慣れれば、楽しいんだ!」
「スピードの加速を楽しむんですか?」
「ばか!それ以外もあるだろう?」
「二人乗り?」
「そうじゃない!『技』を使えたらいいだろう?」
「技??」
「おう!ジャックナイフとか・・・ああ!言うより見せた方が早いな。」
そう言いながら、瑞希お兄ちゃんは落ちていた空き缶を拾う。
(掃除でもするのかな??)
何をするのかと思って見ていたら、拾い上げた缶を地面に置きなおした。


