彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



意地の悪い顔に、いろんな意味でドキッとする。




「な、ないって・・・!?」

「あるわけねぇーよ。」




そうつぶやくと、頭をかきながら言った。



「いい子ちゃんの優等生の世界じゃ、規則通りに生きてりゃあ、いい子になれる。基本的に、ヤンキーの世界も似たようなもんよ。違うところがあるとすりゃあ、ヤンキーらしくしようとしても意味ないんだ。」

「・・・?どういうことですか?」




理解できなくて聞いてみた。




「ああ、わりぃ、わりぃ。伊織みたいに哲学っぽく話したなぁ~」




それで、いつものような笑みを取り戻した瑞希お兄ちゃん。

私を見つめながら言った。


「さっきさ、ヤンキーのイメージについて話したじゃんか?」

「え?ええ・・・必ずしも、盗んだバイクで校内を走らないんですよね。皇助さんをのぞいては?」

「ああ、あいつはなぁ~まぁ、そんな感じで、ヤンキーって言えば、タバコ吸ったり、酒飲んだりするって思うだろう?」

「え?違うんですか?烈司さん、タバコ吸ってましたよね?」

「ああ、あいつはヘビースモーカーだからな。けど・・・俺は吸わない。」

「え?」

「味と匂いが嫌い。」

「えっ!?」


瑞希お兄ちゃんの口から初めて聞く、『嫌い』という単語。

私を嫌いって言ったわけじゃないけど、悲しい気持ちになった。

そんな私に向け、瑞希お兄ちゃんは柔らかく笑う。



「ダサいって思ったか?」

「ええ!?そう思うはずないです!」

「そっか・・・じゃあ、凛はタバコ吸いたいか?」

「え!?煙草・・・」



家でお父さんが吸ってる。

あまり好きじゃない匂い。



「あんまり・・・」

「嫌だろう?」

「すみません・・・」

「ばか!それでいいんだよ。」

「わっ!?」



そう言うと、私を抱き寄せながら瑞希お兄ちゃんは言う。



「『ヤンキーだからタバコを吸う』と、『優等生だからテストの点が良い』って、決めつけになんないか?」

「・・・え?」

「凛さ、真面目そうなやつがクラスにいたら、勉強できるって思うか?」

「え?ええ・・・多分。」

「もし、そいつが英語が全然だめだとしても、他の教科で点が良かったら、英語もできるって思うだろう?」

「あっ!?」




言われて気づく。




「ヤンキーでも一般人でも・・・勝手にイメージされてることがあるってことですか・・・?」

「そーゆーこと。」



私の答えに、いい子いい子と頭をなでながら瑞希お兄ちゃんは語る。