私の問いに瑞希兄ちゃんは、バイクから降りながら答える。
「おう!ゴルフ場とも言えるな。」
「思いっきりそうでしょう!?ダメじゃないですか!これ、私有地ですよ!勝手に入ったら怒られますよ?」
「大丈夫だって。」
私に言葉に、大丈夫を繰り返しながら彼は言った。
「ゴルフ場になってねぇから。」
「は?」
「つまりな、『元・ゴルフ場開発地』なんだ。ゴルフ場じゃない。」
「あ!そうなんですか~よかっ・・・よくないです!持ち主いるでしょう!?」
「心配いらねぇよ。伊織が処理する。」
「獅子島さんが処理?どうする気ですか?」
「そうそう!ここさ、バブルで計画が中止になって、このままなんだよ。だから、芝生の地面はもちろん、土の地面もコンクリートもあって『練習』しやすいんだ。いいだろう?」
「今、さらっと話題を変えましたよね?」
無邪気に言う相手に、これ以上は聞けない。
きっと、彼も話す気はないだろう。
瑞希お兄ちゃんがそうするなら、私も聞きだす気はないけど・・・
(獅子島さん、何者なんだろう・・・??)
〔★獅子島への疑問が残った★〕
「さてと・・・おしゃべりはこの辺にして・・・凛。」
誤魔化すように言いながら私の名を呼ぶ瑞希お兄ちゃん。
「こいよ、凛。」
「あ・・・」
薄らと笑みを浮かべると、瑞希お兄ちゃんは素早くバイクから降りた。
それに合わせて、単車にスタンドをかけた。
鉄の塊を軽々と止める姿はカッコいい・・・!!
「おいで。」
「は・・・はい!」
子供に言うように言われ、それが甘やかしてくれているようで、嬉しくなった。
Yesと即答して、つま先立ちしかできなかったバイクから離れた。
それを見届けてから彼は言う。
「凛。俺がお前にしてやれることは、限られてる。お前が足を踏み入れた世界は、危険が多い。」
「・・・覚悟の上です。」
「体だけじゃなく、心も傷つけられる。強いからってだけで、生き残れる場所でもない。」
(生き残れない・・・)
瑞希お兄ちゃんの言うことを予測すれば・・・
(今の私じゃ、生き残れない?)
瑞希お兄ちゃんがしていたような総長ができない・・・?
「どうすれば・・・瑞希お兄ちゃんみたいになれますか?」
あなたが好き。
大好きだからあなたに、私を見てほしい。
気に入っていてほしい。
好きでいてもらいたい。
それを叶えようと思ったら。
「『俺』に足りないものは何ですか?」
瑞希お兄ちゃんが認める漢になるしかない。
「そんなもん、ねぇーよ。」
私の問いに、彼は鼻で笑った。


