彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「あ、あ、あ、あ、ちょっとぉ、おおおお!!?」



それで衝撃を防げるかと言えば、そうでもない。

ゆれは止まらず、安定は、えられない。

前後にガクガク揺れて、私はバイクから落ちそうになる。



(投げ出される!!)



何とか踏ん張りながら、必死で瑞希お兄ちゃんにへばりつき続けた。

幸運だったのは、その状態が長く続かなかったことだろう。






バッバッバッ!ドスン!!



「えっ!?」



ガクガクしていたバイクのゆれが止まる。

一緒に、私の体のゆれも止まった。








「ほれ、しゅーりょー!」




そう言われて、顔を上げれば、単車は道路を走っていた。



「どうだ?ジェットコースター並に面白かっただろう?」

「どこが!?殺す気ですかっ!?」

「あははは!!あれ死ぬかよ!?ほれ、もっと飛ばすぞー!!」

「え?えっ!?瑞希お兄ちゃん!?」

「早く行かなきゃ、時間なくなるからなー!?」


(時間?なんの?)





そう聞きたかったけど、聞く前にエンジンの音が大きくなる。

肌に感じる風が強く当たるようになる。

スピードが上がっていた。




「凛。」

「は、はい!?」



バイクの音にも負けない瑞希お兄ちゃんの声。

返事をすれば言われた。





「このままんでいいからな。」





その言葉に合わせて、瑞希お兄ちゃんにしがみついている手にぬくもりを感じる。





(瑞希お兄ちゃんの手?)




理解したと同時に愛しい人の手は離れる。





(このままでいいって・・・着くまで、抱き付いてていいってこと?)




聞けばよかっただろうけど、また余計なことを言いそうだったのやめた。

でも、返事をしないのも悪いと思ったので・・・





「離しません。」





一言、そう伝えた。

そうしたら・・・






「ああ、離すなよ。」






そう返事を返してくれた。

返事をもらえるとは、好ましい答えをもらえるとは思ってなかったから・・・



(嬉しい・・・!)




それにドキドキしながら、そっと彼の背中にもたれかかる。

抱き付いている瑞希お兄ちゃんの体温で、さらにドキドキした。


こうして私達は、夜の街を走り抜けた。