「しがみ付くなら、腰回りだけ、許す。」
「え?」
その言葉と一緒に、私の手に彼の手が重なる。
「あ。」
と言う前に、瑞希お兄ちゃんの腰に私の両手が固定された。
瑞希お兄ちゃんによって。
「瑞希お兄ちゃん。」
「最初だけだからな?慣れてきたら、ちゃんとシートの後ろ掴んで乗れよ!」
「あ・・・ありがとう・・・」
「礼言う間があったら、早く単車に慣れろ!・・・つ-ても、これからそうするんだけどな。」
「え?どういう意味・・・?」
聞えてきた言葉を聞き返せば、首だけで振り返る。
「決まってんだろう?単車の練習。」
「れん・・・?」
「今日のところは、それが-----バイト代だっ!!」
「わっ!?」
楽しそうに叫んだと思えば、バイクの前輪が浮かぶ。
「オラぁっ!!」
「き、きゃあああああああ!?」
反射的に叫んで、ギュッと瑞希お兄ちゃんにしがみつく。
バイクは、前輪上げたまま急発。
ギュルルル!!バゥウ~ウッ!!
「わっ、あああああああああああああ!?」
正面に向かって猛スピードで走り出す。
「な・・・なになに!?」
(何が起きた!?え!?バイク動いてるの!?)
目を白黒させていれば、楽しそうな笑い声が響く。
「あっはっはっ!!あれぐれービビるか普通?」
「瑞希お兄ちゃん!?」
「ほら!もう一回だ!近道するぞ!」
「へ?」
そう言うなり、いきなり急カーブ。
バウーバウン!バウン!ババババー!!
「あああああああ!?」
まがった先は、コンクリートの階段。
歩行者専用の道。
そこへ、何の躊躇(ちゅうちょ)もなく、瑞希お兄ちゃんはそちらへと進む。
「えー!?ちょっとお兄ちゃん!?」
驚く私に構わず、階段をバイクで降りる。
「しっかり捕まれ!」
「------あっ!・・・」
段差で、体が飛び上がった瞬間、瑞希お兄ちゃんの言う通りにした。
背中にしがみつく。
額までぺったりとくっつけた。
だけど・・・


