彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



瑞希お兄ちゃんからの次の言葉を待つ時間が、つらい。

数秒でも、まるで数時間のように遅い時間の流れを感じる。

なんと言われるのか・・・悪いことしか思い浮かばない。




「凛は悪くない。」



だから。



「凛は笑われるような子じゃない。いい子だ。」




そう言って、バイクにまたがった状態で、後ろに乗る私を抱きしめながら言われた時。



「笑いたい奴は、勝手に笑わせておけ。俺は、凛は凛のままでいいと思ってる。」

「瑞希お兄ちゃん・・・」

「わからないのに笑ってるとかいう奴らこそ、どうかしてるぜ。そいつらに惑わされるな。そいつらも、俺らと違った意味でイカれてる。」




ふん!と鼻を鳴らして言う姿、男らしいと思う。




「いろいろ言ったけど・・・凛・」

「は、はい!」

「顔、今まで通り半分隠しときな。」

「え!?いいんですか?」

「そうしないと、凛は心が不安定になるんだろう?」

「それは・・・」

「ゆっくりでいい・・・少しずつ、顔をさらせるように慣れていけばいい。」

「でも・・・他の、百鬼さんとかが・・・」

「心配するな!皇助にも烈司達にも、うまく言っておいてやる。」

「あ、ありがとうございます!」

「いいんだよ。ごめんな・・・そういう過去があるって知らずによ。」

「ぼ、僕こそ!変に気を遣わせてしまって・・・」

「ばか。凛は謝らなくていいんだ。昔から、お前は悪い子じゃない。見た目で判断されるのは、いい気がしない・・・俺も似たような経験してっからさ・・・」

「え?」




そう言いながら、私から体を離す瑞希お兄ちゃん。

そのまま彼は、前へと向き直る。

なぜか、その背中が寂しく見えた。





(・・・瑞希お兄ちゃんにも、何か事情があるのかな?)


そもそも、どうして、こんな優しい人がヤンキーしてるの?

なんで、ヤンキーになったの?

私は、まだ彼のことを全然知らない。

私は・・・



「瑞希お兄ちゃん!」

「腰だけだぞ。」



名前を呼んだら言われた。