彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「顔を見て笑うなら・・・僕を見ないようにすればいい。見られないように隠れても、クスクス笑う声が聞こえる。だから、音源から消すしかないんです。」



あの頃、そうしたくてもできなかった。


「僕を見たくなくなるように、見れなくすればいい。視界をつぶして、叩きのして、暴れて・・・」




そこまで言って虚しくなった。





「壊したくなる・・・・壊しちゃうんです。」

「そうなるってわかってて、凛はブレーキかけられないのか?」





そこでやっと、瑞希お兄ちゃんが声を出す。

意外と冷たい口調に、いら立ちのようなものを感じる。

だから、投げやりで伝えた。



「わかってるので、かけてます。隠しています。」

「隠してる?」

「知ってます?いじめって、最終的に怪我させた方が悪いんです。どんなひどいことされて耐えても、最後に爆発させて相手を傷つけたら、それでいじめられた方は『悪』になるんです。今だったら、親がお金を使ったり、公で地位のある人だったり、最悪はモンスターペアレントで、弁護士まで連れてきたりで・・・。まともな方法で勝てないのが現実です。」



いじめ特集で読んだ記事を朗読した。

それを読んで、当時の私がふと感じてしまった気持ちも口にした。


「それだったら、そいつらに十分に注意をします。俺に手を出してくれるなと。警告を無視して襲ってくるなら、どうなっても構わないってことでしょう?親共々消したところで、世の中は大して変わりませんから。」

「坊さんが憎かったら、着てる服も憎いって奴か?」

「少し違います。」

「違う、だ?」

「おまけとけじめです。だって、悪い子供を作ったのは親でしょう?だったら、人様を傷つけた分だけ、苦しんでもらわないとバランスが取れません。可能な限り、一緒に処分しないとダメじゃないですか?」



あの頃のゆがんだ想い。

悲しかった気持ち。

黙って耐えるしかなかった出来事。

格闘技によって力を持っていたけど、使うことを禁じられていた。

そのことも含めて笑われたけど、今はもう平気。




「あくまで、過去の妄想ですけどね。」




私の側に、あなたがいるから大丈夫。




「今は、笑われないように学校でもマスクをしてます。おかげで、誰も何も言いません。」




嘘をつけたして言葉を止める。

そのやり取りを最後に私達は黙った。